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2020年6月18日

日産eパワーの導入市場拡大 国外初のタイ生産、日本に逆輸入

日産自動車は、ハイブリッドシステム「eパワー」の導入市場を拡大し、電動化戦略を加速する。5月に国外で初となるタイでeパワーの生産を開始し、6月には日本へ〝逆輸入〟する。

2023年度までに中国や欧州にも本格導入し、グローバル市場でB、Cセグメント車にも採用車種を広げる。また、より発電に適したエンジンを採用した新システムも投入し、競争力も引き上げる。

eパワーを電動化戦略の柱に据え、展開地域の拡大や商品力の向上によって電動車販売を23年度までに年間100万台超の規模とする方針だ。

eパワーはエンジンで発電しモーターで駆動するシリーズ方式のハイブリッドシステムで、16年にコンパクトカー「ノート」で初採用した。発電用に調整した3気筒エンジンに電気自動車(EV)「リーフ」で培ったモーターや電池などの技術を組み合わせた。

国内ではノートに続いて18年にはミニバン「セレナ」にもeパワーを設定。近々、タイで生産を開始したSUV「キックス」のeパワー搭載モデルを国内投入する。

内田誠社長兼CEOは、母国市場の再強化を図る上で「eパワー搭載車を23年度までに4車種追加する」考えを明らかにしており、これによりEVも含めた電動車比率を現状の25%から60%まで引き上げる方針だ。

タイでの生産開始を皮切りにeパワーの海外展開も本格化する。中国ではEVを軸にeパワー搭載の主力車を投入することで電動車比率を23%に、環境規制が強化される欧州ではeパワーの本格展開で50%に、それぞれ23年度をめどに引き上げる。

日産は仏ルノーと三菱自動車との3社連合で、商品や技術でそれぞれ主導役を決めることで全体の競争力や収益力を高める戦略を推進している。

この中でeパワーについて、内田社長は「アライアンスの力を活用しながら競争力を追求する」と述べており、日産の独自技術として性能向上を図りつつも、コスト削減のために協業の枠組みを活用していく考えも示している。

 

 

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞6月9日掲載