2020年6月12日
自動車メーカー各社 系列販社営業・サービス技術大会、開催見直し
自動車メーカー各社は、2020年度に開催を予定していた系列販社のサービス技術大会など各種全国大会を中止または延期することを決めた。新型コロナウイルスの感染拡大防止と出場選手や関係者の安全を第一に考慮して開催見直しに踏み切った。
「四輪サービス技術コンクール」など4大大会の中止を決断したホンダでは、各大会に関連する学習コンテンツなどをオンラインで販社スタッフに提供し、知識やスキル向上の支援体制を整えた。
国内自動車メーカー12社で、コロナ禍を理由に各種全国大会の開催を延期としたのが5社、中止としたのが5社、検討中は2社だった。
トヨタ自動車は、4月に「全国トヨタ販売店サービス技術コンクール」を開催する予定だったが、21年度に延期した。前回大会まで4チャンネルそれぞれで開催しており、全社参加の統一形式に移行した初の全国大会となる予定だった。予選を勝ち抜いて得た出場権は、そのまま維持するという。
ダイハツ工業は、隔年開催の「サービス技術コンクール」を今秋に開催する予定だったが、21年10月に延期する。同年に開催予定の「BPコンクール」も1年ずらす。
スバルは、11月に開催予定だった「全国スバルサービス技術コンクール」の延期を決定し、新たな開催日程を検討中だ。日産自動車も、「全国日産サービス技能大会」を21年度に延期することにした。
三菱自動車は、21年2月に日本で実施予定だったサービス技術の世界大会を同5月に変更した。国ごとの予選が必要なため、各国の状況を情報収集して最終的な判断を下す。同12月に開催予定の国内大会は現時点で変更はない。20年度の営業スタッフ向け「ロールプレイング全国大会」は、実施の可否を今後検討する。
中止の決断に踏み切ったメーカーも少なくない。ホンダは、セールス、サービス、査定、業務改善活動の4大大会をすべて取り止めた。
その一方で、販社スタッフの活動支援として商談、査定、サービスの各コンテストに関連するテストをウェブ上で実施するほか、学習コンテンツの提供を決めた。テストの結果や総評は受験者一人ひとりにフィードバックするという。スズキは「サービス技能競技大会」の開催を見合わせた。
日野自動車、いすゞ自動車も国内販社対象のサービス技術大会の中止を決めた。UDトラックスは、サービス技能競技の国際大会「現場チャレンジ」の開催を断念した。
三菱ふそうトラック・バスは、11月に「カスタマーサービスコンテスト」を開催予定で、新型コロナの感染状況などを踏まえながら現在、対応策を検討しているという。
マツダも、今後の状況を見ながら営業スタッフの商談スキルなどを競い合う「ウォークアラウンドコンテスト」の開催可否を判断するとしている。
各種競技大会は、各販社の人材育成や相互研鑽につながる重要な恒例行事。少子高齢化などでメカニック人材の確保が厳しさを増す中、サービス技術大会は自動車整備専門学校・大学校の生徒に先輩社員の技術力などをアピールする絶好の機会となる。
入賞者を輩出することは、顧客満足(CS)・従業員満足(ES)の向上や採用活動に生かすこともできる。今後は、アフターコロナの時代に適した各種大会の開催方法を検討する必要がありそうだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞6月8日掲載