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2020年6月9日

政府のエネルギー白書 電力網構築にEV活用

政府は5日、「2020年エネルギー白書(19年度エネルギーに関する年次報告)」を閣議決定した。大規模台風の相次ぐ襲来などでエネルギー分野における災害や地政学リスクが高まっていることを背景に、エネルギーシステムの強靭化に向けた方策などをまとめた。

この中で、高効率なエネルギー利用を可能にするIoT(モノのインターネット)やモビリティの電動化に欠かせないレアメタル(希少金属)について、中国依存度が高いことに警鐘を鳴らした。また、電気自動車(EV)などを組み合わせた新たな電力網の構築も持続可能な電力システムの構築に有効としている。

CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)への対応が求められている自動車産業にとって、電池やモーター、半導体の高性能化に欠かせない希少金属やレアアース(希土類)のニーズが拡大している。

一方、18年における日本の希土類の調達割合においては中国が過半を占めているなど、特定の国への依存度が高くなっている。白書ではさらに、資源の産出など上流工程だけでなく、精錬工程といった中間工程でも中国勢の寡占化が進展していることを指摘。日本のエネルギーセキュリティーを高める上でも対策を強化していく必要性を訴えた。

また、世界的に感染拡大が進む新型コロナウイルスも、新たな災害・地政学リスクになっている。白書では4月に米ニューヨークの原油先物市場で、史上初のマイナス価格をつけるなど相場が不安定になっていることを報告。

世界的な経済回復を実現するためにはエネルギーの安定供給が必要不可欠と結論付け、産油国と消費国の双方が協力していくことが重要と指摘している。

EVや住宅、店舗などをつないだ小規模な分散型の電力網の構築もリスク軽減につながる手段の1つとして紹介している。これらにデジタル技術の高度化を重ね合わせることで、さまざまな業界を巻き込んだ新たなビジネスの創出につながる可能性もあるとも述べている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞6月6日掲載