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自動車産業インフォメーション

2020年6月3日

自動車業界が一丸 少しでも医療現場の役に

自動車メーカーなどが医療現場で必要なフェイスシールドの生産に乗り出すなど、新型コロナウイルスの危機に立ち向かうための活動が自動車産業全体に広がっている。

日本自動車工業会(豊田章男会長)、日本自動車部品工業会(尾堂真一会長)、日本自動車車体工業会(木村昌平会長)、日本自動車機械器具工業会(辻修理事長)による連名の決意表明から約1カ月半が経ち、ものづくり力を応用した支援活動は医療物資の生産から移動車両の提供、ワクチン開発のサポートにまで及ぶ。

感染症危機の克服と経済復興に向け業界一丸となって国難を乗り越える。

自工会が5月29日に発表した新型コロナ関連の支援活動のまとめによると、フェイスシールドの生産・提供の総量は8万個に上る。トヨタ自動車や日産自動車、ホンダなどが生産し、医療現場に届けている。防護服・ガウン・合羽の生産・提供企業は5社、4万1500個。マスクは自給自足により国内の需給緩和につなげる取り組みが各社で進む。人工呼吸器の増産支援の企業はマレリやアルプスアルパインなど4社。

感染者の搬送用車両を提供しているのはトヨタやホンダなど6社、273台。豊田合成はPCR検査車を東京都医師会に提供した。

自動車メーカーやサプライヤーはコロナの感染拡大に向けて知的財産を相次ぎ無償公開に乗り出す。「知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言」には、トヨタや日産、ホンダ、マツダ、スバル、三菱自動車、いすゞ自動車、デンソーなどが参画を表明。

これまで各社が培ってきた先進技術などに関連する特許を治療薬や医療機器開発に役立ててもらう。各会員企業の取り組みは「自動車業界新型コロナウイルス対策支援ホームページ」で紹介する。

「医療崩壊をさせないために少しでも役に立ちたい」―。緊急事態宣言が発令され、国内の感染拡大に歯止めがかからない状況下にあった4月10日、自動車4団体はウェブ上で合同会見を開き、自工会の豊田会長は新型コロナ対策の支援活動を本格化することを宣言した。

これまでにも東日本大震災などの危機に直面してきたが、感染症という見えない敵との戦いに向け、今まで以上に業界内で結束を強める。

豊田会長の「具体的に決まっていなくても想いをお話しすることで、それなら一緒にやってみようと手を挙げてくださる方が出てくるかもしれない」という期待に応じるように、各会員企業が持つものづくりの技術や設備を生かした支援の輪が広がっている。

自動車4団体は日本のものづくりを支える人材を死守する姿勢を示し、雇用や日本経済を守るためファンドを創設することを決めた。日本の技術を維持するとともに、終息後の経済復興のけん引役として事業活動を継続する。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞5月30日掲載