会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2020年6月3日

国交省、路線バスの運行費用一部補助 運行本数維持へ

国土交通省は、地域の公共交通機関で車内の乗客密度を上げずに運行できる実証事業に乗り出す。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ試みの一環。足元では外出自粛要請により、公共交通機関の利用者が減る傾向にあった。路線バスなどの運行費用の一部を補助することで、運休や減便などを避けて一定の運行本数を維持しやすくする。

コロナ禍以前とほぼ同様の運行形態を実現することで、車内の「3密(密閉・密集・密接)」を避けて感染抑制につなげる。国交省では車内などの衛生対策にかかる費用も合わせて支援していく方針で、新型コロナの封じ込めに力を注ぐ構えだ。

「地域公共交通における感染拡大防止対策」は、5月27日に閣議決定した2020年度の第2次補正予算案に計上した。予算額は138億500万円で、地域の公共交通機関の新型コロナ対策をサポートすることで、国民生活を支えていく考えだ。

車内の密度を上げないように配慮した運行の実証事業は旅客輸送を対象に実施し、バス事業者のほか、地域の鉄道や航空、海運の事業者を想定する。バスは路線だけでなく、一部の貸切バス事業者にも適用していく。

国交省では運行にかかる費用の2分の1程度を補助していく方針。もともとのダイヤを維持して運行しているなどの事業者を実証事業の対象にするイメージだ。

また、車内の間仕切りカーテン設置や、乗客の体温を測るサーモグラフィーの導入といった衛生対策にかかる費用は一定程度、定額で補助する。国交省では導入時期を含め、制度の詳細を早期に詰める。

新型コロナをきっかけに、これまでの生活様式などを転換する「ニューノーマル(新常態)」への移行が日本国内でも加速するとみられる。テレワークの拡大などが進めば、公共交通の利用者にも影響が出るのは間違いない。こうした中でも事業者を支えていくことで、感染症にも強い公共交通網づくりを実現していく考えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞5月29日掲載