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2020年6月3日

日本技能研修機構 整備ネットワーク構築に予想超える参画

日本技能研修機構(JATTO、石下貴大代表理事)の取り組みが好調な出足を見せている。今月から先進安全自動車(ASV)のエーミング(機能調整)作業を請け負う次世代整備ネットワーク構築に着手し、全国で会員参画者を募集している。

すでに「予想以上の反響で関心の高さに正直驚いている」(幹部)と話す通り、現在までに申込者数は50社を超えた。協賛会員にはヤナセオートシステムズ(江花辰実社長)の加入も決定し、全国でも大手の整備事業者、部品商などの参画が相次ぐ。

2024年までに全国各地で相応の設備を備えたエーミングセンターを合計500カ所開設する予定で、JATTOでは十分な手応えを感じている。

4月の道路運送車両法改正で、自動運転車の点検整備を見据えた「特定整備」がスタートした。これに伴い、監視用カメラやセンサーのエーミング作業を行う新たな認証資格「電子制御装置整備」が導入された。衝突被害軽減ブレーキなどを備えたASVを整備する上でエーミングが不可欠となる。このため、エーミング作業に必要な設備や機器を持たない整備工場は、入庫車両の誘導先を決めることが求められている。

JATTOでは会員募集を5月、7月、9月の3段階に分けて行う。各センターには「エーミングジャパン」の名称と各事業場の地名を付与する。輸入車を含めた車種を扱う「プラチナ工場」、国産車のみに対応する「ゴールド工場」を全国各地で開設。

それぞれプラチナを300カ所、ゴールドを200カ所を想定する。入庫誘導する車両のバッティングを避けるため、原則として工場間の商圏を15㌔㍍離して展開する。

エーミング料金は機構の提供する作業工程、項目係数などを順守した上で各都道府県の相場より5%割安な金額を設定する。これにより、安易なダンピングを抑制し、価格決定を主導していく。既に参画を決めたのは整備工場としては大規模な事業者が多いのが特徴だ。

横浜商工(河合昭彦社長、横浜市西区)では部品倉庫を改装し、新たにアライメントテスター、タイヤチェンジャーをはじめさまざまな最新鋭の機器を取りそろえた。同社が部品商としてビジネス展開する中で「エビデンスシステムで作業内容がクリアになることに魅力を感じた。さらにエーミング作業を請け負うことで(当社の顧客となる)整備工場への支援にもなる」(岩崎智史取締役営業本部長)と説明する。

同社として今後整備工場に加え、ガラス事業者や新たな取引先からの入庫を見越し、収益の拡大に結び付けていく方針。将来的には神奈川県西部に複数拠点を展開し、県内のマーケットを広くカバーする。

JATTOでは、同社を東日本地域でのモデルエーミングセンターと位置づける。新規会員募集活動に取り組む中で、見学会を同社で実施し、他社が参画する際の事例として参考にしてもらうように促していく。

今後も自動車業界では先進安全技術が進歩し続けることが確実。それだけに「エーミングが必要な車も着実に増える中で、全国各地のネットワーク整備への支持が広がるのではないか」(幹部)と話している。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞5月28日掲載