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2020年6月2日

車検証のICカード化 国交省、23年1月導入目指す

国土交通省は、「自動車検査証の電子化に関する検討会」がとりまとめた報告書案を公表した。現在使用する紙ベースの車検証をICカード化することで、整備事業者は作業効率の向上などが見込める。ユーザーにとっても車検時期の把握などが容易になる。

報告書ではさまざまな付帯的なサービス向上を提言しており、事業者とユーザーの双方にとってメリットは大きいと言える。国交省の自動車登録検査業務電子情報処理システム(MOTAS)のシステム改修などを踏まえ、3年後の2023年1月の導入を目指していく。

今回の取組みの背景にあるのは自動車行政手続きのワンストップサービス(OSS)の利用率低迷だ。国交省として利用促進に向けて業界団体などと連携しているものの、18年度末で新車新規は40・8%、継続検査は16・7%と低調だ。継続検査では検査証受け取りのため運輸支局に出向くことが必要なことが伸び悩みの要因と指摘されている。

車検証の電子化で、券面の記載事項の変更を伴わない場合などは運輸支局に行く手間を省くことができる。電子車検証には使用者の氏名、自動車登録番号、車体番号など現在の車検証の記載事項に加えて、新たにICチップ、セキュリティコード、管理番号などを追加する予定だ。

電子車検証の利活用に関するアイデアとしては、車両情報を記録することで中古車販売業者は自動車メーカーへの問い合わせの手間をなくすことができるという。整備事業者にとっても、点検整備情報のデータ化で顧客管理が容易になる。ユーザーもマイカーの整備履歴を自身で管理できるため、点検整備の励行促進につながるとの期待もある。

中古車の査定も容易になる。自動車保険情報を電子化した車検証に格納すれば、自賠責保険情報との一体管理ができる。免許証の情報と組み合わせることで、大型車など運行車両の資格確認も漏れなくできる。

さらに、民間事業者の会員証と統合した複数のポイントカードの1枚での管理や、走行履歴で旅行先へのインセンティブ付与などのアイデアなども上がっている。

デメリットとしては、電子化することによる発行までの時間の増加を挙げる。また、紙とカードの検査証が混在する期間は、運輸支局での業務が煩雑化することが予想される。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞5月28日掲載