日産自動車と仏ルノー、三菱自動車の3社連合は5月27日、新たな連携強化戦略を発表した。従来のプラットフォーム共有化をアッパーボディにまで拡大するとともに、商品セグメントや地域ごとに強みを持つ企業が開発の〝主導役〟を担い、商品開発を合理化することで1モデル当たりの投資額を最大4割削減する。

車両生産についても競争力の高い地域に集約し、収益力向上につなげる方針だ。新型コロナウイルスの感染拡大によって新車需要が低迷し業績悪化が避けられない中、連携強化によるシナジーを最大限に引き出すことで生き残りを図る。

今戦略では、商品と技術の領域で最も得意とする企業が開発を主導して残りの2社が成果を活用する「リーダーとフォロワー」と担当地域を設ける「レファレンス地域」の制度を導入する。重複を避けるとともに、アライアンス内で共有化を促進する。

商品軸の共有化は、すでにCMFプラットフォームや軽自動車事業を手がけるNMKVを活用して進めてきたものの、2024年までに適用モデル数の割合を現在の39%から倍増させる。

技術軸でも担当企業を決める。日産は運転支援や自動運転技術、電気自動車(EV)専用プラットフォーム向け電動パワートレインなどを担当。三菱自はプラグインハイブリッド車(PHV)のリーダーを務める。

ルノーはA/Bセグメント向け電動パワートレインを担当する。一方、地域軸では日産が日本、北米、中国、三菱自が東南アジアと豪州、ルノーが欧州、ロシア、南米、北アフリカを主導する。

ルノーのジャン・ドミニク・スナール会長は、従来の拡大路線から「アライアンスの新しいビジネスモデルは効率性と競争力を目指す」と述べた。日産の内田誠社長兼CEOは「アライアンスは競争力を高める資産。選択と集中を行っていく」とした。

企業連合は、経営危機に直面していた日産をルノーが救済する形で1999年にスタートした。ルノーから送り込まれたカルロス・ゴーン氏がコスト改革を断行したことで日産がV字回復を果たし、その後もプラットフォーム共有化や共同購買などでシナジー効果を高めてきた。

20年にわたり成長路線を維持してきた企業連合の成功事例として評価されてきたが、ゴーン氏が逮捕された後は、日産より企業規模が小さいルノーが筆頭株主というねじれた資本関係によって両社のひずみが表面化した。

その後、世界市場の低迷によって、これまでの拡大路線が仇となり業績は悪化。新型コロナによる需要減が追い打ちをかける中、3社は新戦略による提携強化を軸に業績回復を目指す。