会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2020年5月27日

大手損保4社20年3月期決算 自動車保険販売は全社増収

大手損害保険4社は20日、2020年3月期決算を発表した。自動車保険の販売は、一般企業の売上高に相当する正味収入保険料が全社で前期を上回った。ドライブレコーダー連動型の商品や特約をラインアップしたことで契約単価が上昇したことや、1月に保険料率の改定が行われ、保険料が上昇したことなどにより増収となった。

自動車保険の正味支払保険金は、東京海上日動火災が前期比0・6%増、三井住友海上火災が同1・3%増、あいおいニッセイ同和損保は同2・2%増だった。損害保険ジャパンは、対人・対物の支払いなどが減少し、同1・7%減となった。

4社が所属する3グループの連結決算では、新型コロナウイルスの感染拡大による影響は限定的とした。影響が及んでいるのは、資産運用や海外の利益補償型商品を取り扱う事業会社で、有価証券の評価額下落、イベント中止補償などの利益補償型商品の支払いの増加が発生し、一部でグループの業績の押し下げ要因となった。海外の実績は19年12月までを連結しているため、新型コロナの影響は反映されていない。今後の注視が必要だ。

自然災害への保険金支払いは、18年度比で減少したものの、19年も大きな被害をもたらした台風が発生。「大規模災害の常態化も考慮し、対応できる体制を構築する」(東京海上HD)、「火災保険に関しては料金改定も検討議題」(MS&AD HD)と、大規模災害への備えを強化する。

21年3月期の業績予想は、東京海上HDが新型コロナの影響が明確でないため見送った。各グループとも、業績への波及が明確になった時点で正確な情報を更新する。

今期に関しては、新型コロナの感染拡大の影響が不透明なままだ。経済の停滞で新車販売が落ち込み、保険契約件数の減少につながるのではないか、との懸念も損保各社にはある。また4月には自賠責保険料の料率が引き下げられており、正味収入保険料の落ち込みを想定する企業もある。各社は新型コロナの流行により先の見えない世界経済と大規模災害の常態化など、不安定な状況への対応を迫られそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞5月22日掲載