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2020年5月26日

4月の訪日外国人観光客数99・9%減 移動支える自動車業界も影響

日本政府観光局が20日発表した4月の訪日外国人旅行者数(推計値)は、前年同月比99・9%減の2900人となり、1964年の統計開始以来、単月として過去最大の下げ幅を記録した。総数が1万人を下回るのも単月として初めて。新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大が影響した。

観光需要の急減速は旅行者の移動を支えている自動車業界にも影を落とす。同日会見した観光庁の田端浩長官は「宿泊業だけでなく、貸切バスやハイヤー、タクシー、レンタカーなども深刻なダメージを受けている」と危機感を示した。

日本から出国した日本人数も前年同月比99・8%減の3900人だった。インバウンドとアウトバウンドがともに過去最大の下げ幅を記録したのは、2カ月連続になる。田端長官は「新型コロナ対策のため世界中で旅行控えがあったほか、各国での水際対策の強化が影響した」と分析する。

日本人の国内観光需要も急ブレーキがかかっている。観光庁が同日公表した1~3月期の日本人の国内旅行者数(速報値)は、前年同期比22・3%減の9381万人にとどまった。消費額も同20・5%減の3兆3473億円だった。特に、新型コロナの影響が急速に広がった3月単月をみると、旅行者数は前年同月比47・1%減の2674万人、消費額も同53・1%減の7864億円に半減している。

緊急事態宣言が発令された4月以降はさらなる悪化が確実で、観光に携わる事業者からは悲鳴が上がっている。田端長官も「事業継続や雇用維持につながるさまざまな施策を、観光庁の立場で分かりやすく丁寧に案内する」ことで事業者支援を強化していく考え。

一方、国内の感染状況が落ち着き次第導入する観光需要の反転攻勢に向けた「Go To(ゴートゥー)キャンペーン」については、「事務局の公募など準備を進めている」と明かす。実際の事業開始は緊急事態宣言の解除など新型コロナの動向を見極める必要があるが、スタートまでに関係各所に広く周知したり参加事業者を募る必要もあることから「少なくとも、今から2カ月前後はかかる」との見通しも示した。

さらに、田端長官は「各地域や産業界からできるだけ早くキャンペーンを始めてほしいとの声もいただいている」と切実な状況も打ち明ける。この実現につなげるためにも「関係省庁と連携して一刻も早い新型コロナの封じ込めに全力を尽くす」方針。観光に携わる事業者にも「業種別に策定したガイドラインの活用などで、旅行者が安全に旅行できる環境づくりを進めていく必要がある」と呼びかけた。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞5月22日掲載