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自動車産業インフォメーション

2020年5月27日

コロナ禍の中小企業への影響大 経産局の自動車関連取引相談窓口

経済産業省が各地方の経済産業局に設置した自動車関連企業向けの相談窓口に、中小サプライヤーから資金繰りなどの経営相談が寄せられている。新型コロナウイルス感染拡大による新車需要の低迷で、自動車メーカーが工場の操業停止や生産調整を実施している。

今回設置された相談窓口が対象とする2次サプライヤーやその下請け企業などの中小企業や小規模事業者は、この影響を大きく受けている。コロナ禍の影響は少なくとも2020年度上期中まで続くとの見方があり、長期化による影響が懸念される。

経産省は4月21日までに、完成車工場が立地する東北、関東、中部、近畿、中国、九州の経産局に「自動車関連取引相談窓口」を設置した。サプライチェーン(供給網)関連の相談を中小規模事業者から受け付けて支援につなげることを目的としているが、足元では資金繰りなど経営に関する相談が大半だった。相談件数が最多だった中部経産局の担当者は、相談の種類について「資金繰りや雇用維持、給付金が多い」と話す。

こうした経営相談は、各経産局では産業全体を含む中小企業関連の窓口で対応しているが、自動車関連企業からは自動車関連取引相談窓口にも一部寄せられている。厚生労働省が実施する企業の休業手当を助成する雇用調整金や、1日から申請が始まった経産省の「持続化給付金」など、事業継続と雇用維持に向けて奔走する企業の姿がみえる。

九州経産局の担当者は「経産局よりも、地元の役所や商工会議所に問い合わせが多いと聞く」など、足元では供給網に対する懸念よりも生産調整の長期化による資金繰り悪化への不安が募っている。

新型コロナの自動車業界に対するマイナス影響は20年度に入り拡大を続けており、回復を見込む時期も企業によってばらつきがある。大手サプライヤーが手元資金を厚くする中、中小サプライヤーも新型コロナ収束後の回復に追従するための資金の確保を迫られている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞5月22日掲載