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2020年5月26日

車の価値、新たなプライベート空間として再評価 デルフィス調査

自動車が持つ「プライベート空間」への再評価がコロナ禍で進んでいる。トヨタ自動車子会社のデルフィス(棚田京一社長、東京都千代田区)による「コロナ禍における移動・クルマに関する意識調査」で判明した。同様の傾向は東日本大震災でも見られた。同社は「ここ数年で『所有から使用』に移り変わってきた車に対する価値観に、新たな変化の兆しが生まれてきた」とみる。

ゴールデンウイーク前後に2回に分けて18~69歳の男女、合わせて1600人にインターネット経由で調査した。

まず、車の購入意向を聞いたところ、コロナ禍で購入を中止または延期した人が11%いた半面、もともと車を買う予定がなかったものの「購入したくなった」と答えた人の割合が18%にのぼった。車に対する評価でも「生活に必要な移動を安全に行える」「感染リスクを下げられる」について、「当てはまる」「やや当てはまる」と答えた割合が77~80%に達した。

調査では新型コロナ感染拡大に伴う運転頻度の変化も聞いた。全国平均で「増えた」「やや増えた」と回答した割合は16%で、感染者が多かった1都3県(東京、千葉、神奈川、埼玉)に限ると26%に達した。公共交通機関を避け、ドア・ツー・ドアの利便性を持つ車を選んでいる様子がうかがえる。

同社は東日本大震災後にも意識調査を実施している。当時も「車があれば一時的に生活の場所として代替できる」など、プライベート空間としての役割が評価を集めた。また、長期にわたるガソリン不足を経験したことで〝サバイバル意識〟や「給電機能」への期待感が電動系エコカーへの関心を押し上げた。

今回の調査では、「新型コロナウイルスの影響により、今後どのように暮らしたいと思うようになったか」も聞いた。最多は「家族や身近な人々との絆を大切にしたい」で83%、以下「日常のストレスを忘れたり、非日常的な気持ちになれる時間をつくりたい」(77%)、「一人の時間を大切にしたい」(75%)と続いた。東日本大震災後も「エネルギー」に加えて「絆」を重視する傾向が高まっている。

また今回、回答者の6割が「気分転換にドライブしたい」と答えた。ドライブ・レジャーは「コロナ禍の収束後にしたいこと」(複数回答)としても、「外食」「国内旅行」などとともに上位に入った。

同社は「今後も3密を避けた移動が推奨される中で、車が元来持っている1人や大切な家族と過ごせる『プライベート空間』という価値がより一層求められるようになってくる」と指摘。「世の閉塞感が徐々に和らいでいく局面では『自分らしい生活を再開したい』『新たなことにチャレンジしたい』など、さまざまな希望を抱く人たちにとって、車が力強い味方になり得る」とも分析する。

長期にわたるコロナ禍や、政府が推奨する新たな生活様式が車の機能や新車需要にどう影響を与えていくか注目される。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞5月23日掲載