2020年5月25日
コロナによるサプライヤーの物流影響 自動車メーカーの本格稼働に備え
新型コロナウイルスの感染拡大が世界中の自動車生産活動に影響を及ぼす中、サプライヤーの部品物流に与えるインパクトは現状では小さいようだ。海上、航空輸送ともに減便が発生しているものの、現時点で自動車メーカーの工場稼働率が低いことや現地調達の増加などで、「調達、供給に支障は出ていない」(NOK)状況だ。
運賃の値上げを危惧する声が一部ではある一方で、今後生産本格化を目指す自動車メーカーを下支えできるか、部品物流網の維持、安定化が試される。
「飛行機や船便は減っているが(便を)確保できないわけではない」(ケーヒン)、「現在のところ物流に関する問題は発生していない」(ヨロズ)、「国境をまたいだ輸送が少ないので現状は問題ない」(ファルテック)―。ホンダ、日産系のサプライヤー各社は足元の現状をこう説明する。
物流業界ではコロナ禍により貨物量が減少。海上、航空貨物輸送に影響が及び減便が発生しているが、現時点でサプライヤー各社の調達、供給における影響は見えてこない。バンドー化学は調達について「6月末までは確保できている。困難にはならない」、アルファも「現時点で6月末までは部品調達がショートすることはないと確認済み」だという。
2~3月にかけて自動車メーカーの工場稼働が再開した中国でも、部品物流に支障は出ていない様子。ショーワは「中国、日本間の物流は問題なし」、マレリは北米も含めて「輸送に支障は発生していない」状況だ。
懸念事項として顕在化している輸送費の高騰による影響も限定的だ。「航空便の減便やそれに伴う運賃値上げなどの状況は認識している。(生産部品は)海送が主で今のところロジへの影響はない」(ジヤトコ)、「空輸の価格はかなり高騰しているが、空輸は発生していないので現状では特に支障はない」(ユニバンス)と話す。
現時点で自動車メーカーの工場稼働率が低いため部品物流に問題は出ていない模様だが、「今後稼働率が高まったときにどうなるかは不透明」(ケーヒン)との見方もある。
ただ、自動車メーカーの現地生産に合わせ、サプライヤー各社は現地調達を拡大しており、「そもそも地産地消の考えで生産部品の空・海輸送は多くはない」(ジヤトコ)、「国境をまたいだ輸送が少ない」(ファルテック)ことも事実。「国をまたぐものは大量にはないが、一部存在するので気を付けて対応している」(河西工業)状況だ。
安定した部品物流網の維持こそがグローバルでのサプライチェーンを支えるが、今後の自動車メーカーの本格稼働に部品物流が対応できるかは予断を許さない状況だ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞5月20日掲載