2020年5月25日
環境省、バッテリー交換式電動車の導入促進 購入費用を半分補助
環境省は、コンビニエンスストアや飲食店で使う配送車両向けにバッテリー交換式電動車の導入を促進する。事業者や団体に対して車両購入費用の半分を補助する。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛の環境下で、フードデリバリーといった家庭用の配送需要が増大していることから、電動車の普及を推進すると同時に、地域の物流維持を支援する狙い。
メーカー側も電気トラック・二輪車の市販化に向けた動きを加速しており、補助事業を通じて初期導入をサポートする。
2020年度予算で10億円を計上し、経済産業省と連携して事業を進める。コンビニや飲食店といった事業者などを対象に車両や交換式バッテリー、充電装置の導入にかかる費用の半分を支援する。補助車両台数は二輪車やトラックを含め1千台規模を想定する。予算執行団体の北海道環境財団で公募を開始し、12月25日まで受け付ける。このほか地域の脱炭素型物流モデルの計画策定も支援の対象とする。
メーカーサイドでは現在、商用車の電動化に向けた開発を進めている。いすゞ自動車は、小型トラック「エルフ」をベースとした電気トラック「エルフEV」のモニター走行を19年からスタート。事業者に車両を貸して営業用として使ってもらいながら性能を評価している。20年にはヤマト運輸が中型商用電気トラックの本格導入に向けいすゞが開発した「エルフEVウォークスルーバン」を導入しモニター稼働へと移る。
いすゞは「コンビニや宅急便などの分野で商用車のEV化の可能性がある」と見ており、20年代前半の電気トラックの実用化を目指す。
ホンダは、今年4月から電動二輪車「BENLYe:(ベンリィ・イー)」シリーズを国内の法人向けに販売開始した。郵便配達業務用として日本郵便向けに納車し、20年度中には2千台程度の導入を計画する。集配業務に適しているとして、今後の利用拡大を見込む。
環境省の事業は24年度まで実施する。商用電動車両の市販状況から「現時点では二輪車が補助対象の中心となる」(環境省)としつつも、5年間の実施期間中に電気トラックの市販化が進めば補助対象の車両も増えると予想する。
また「発売当初は価格もこなれてはおらず、社会的な認識もあまりされていないので環境省としてサポートしていく」方針だ。コロナ禍で高まる配送需要に対して輸送分野を支援するとともに、電動車の普及を促す。また、交換式バッテリー車の導入を増やすことで地域の防災機能も強化したい考えだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞5月21日掲載