2020年5月22日
コロナ感染防止でマイカーに注目 中古車リース需要が増加
新型コロナウイルスの感染拡大でマイカー通勤が見直される中、中古車を活用して需要を取り込もうとする動きが活発化している。個人向け中古車リースを取り扱うナイル(高橋飛翔社長、東京都品川区)は、今月に入りリース契約を結べる車両の在庫台数を2割増やした。トヨタ自動車もレンタリース店などを通じて法人向けの中古車リースを立ち上げた。
イドムが展開する中古車のサブスクリプション(定額利用)サービスは4月に過去最高の契約数となった。新車と比べて納期が比較的短く、手ごろな価格で提供できることから、すぐに利用したいユーザーなどからの引き合いが高まっている。
新型コロナウイルスの感染リスクを避けるため、電車やバスなどの公共交通機関から自動車での移動に切り替える動きが出始めている。こうした中、自動車メーカーの生産工場が一部停止するなどし、新車の納期が通常よりも伸びるケースが増えていることも、中古車の需要増につながっているようだ。
昨年1月に中古車リースをスタートしたナイルは今月13日、新車リースで業務提携しているオリックス自動車と中古車でも協業する体制を構築。オリックス自動車のリースアップ車両の一部をナイルの中古車リース商品として扱えるようにした。「コロナ禍の影響による新車の納期遅れなどを受けて、中古車リースの4月の契約者数は3月比で6割増になった」(ナイル関係者)という。すでに1千台規模の在庫を確保しており、今後もさらに提携先を増やす考えだ。
こうした中、自動車メーカーもコロナ禍による中古車の需要増に対応する。トヨタは、子会社のトヨタモビリティサービスや全国のレンタリース店を通じて法人向けの中古車リースを立ち上げた。通勤が避けられない医療従事者などの利用を見込み、トヨタモビリティサービスでは約1千台の車両を用意した。小型車「ヴィッツ」の場合、月額リース料金を新車リースの約半額となる1万9500円(消費税別)で提供する。
すでにこうした需要を取り込んでいるのが全国で「ガリバー」を展開するイドムだ。1カ月ごとに乗り換え可能な中古車サブスクリプションサービス「NOREL(ノレル)」は、契約者数が16年のサービス開始以来、過去最高の件数に急増したという。「4月の申し込み数は2月比で5倍近くに増えた」(担当者)と、車両の供給が追い付かない状況になっている。
コロナ禍の影響を受けて通勤や日常生活のためにクルマを使うケースのほかにも、「新車購入を検討していたユーザーが先行きの不安感から中古車リースを利用するケースも多い」(同)という。安価で納車が早い中古車リースは、こうした「利用」と「所有」の中間で揺れ動くユーザーからの需要に合う部分が大きく、景気の先行き不安が叫ばれるコロナ禍でさらに支持を得ていくものとみられる。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞5月19日掲載