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2020年5月18日

新型コロナ、整備業界にも影響 スタッフの感染防止一番に

新型コロナウイルス感染拡大が整備業界にも影響を与えている。国内全体に停滞ムードが蔓延する中で、整備業界にもさまざまな形で余波をもたらしている。特に重要となるのがスタッフの感染防止対策だ。マスク着用や手洗いの徹底、こまめな消毒を実施している。

とはいえ、効果は未知数で防止策も当面は続けざるを得ない見通しで、日常業務に支障も来している。売り上げや収益については車検、点検での入庫台数は順調に推移する整備工場が多い。ただ、新車・中古車の販売台数が落ち込み、ダメージを受けている事業者は少なくない。

新型コロナウイルス感染者数が累計で1万5千人を超えた日本。整備事業者でも感染予防対策に力を入れている。各社とも日常業務をこなしながら、できる限りの対策を取っているものの、感染への不安は消えることがないというのが実情だ。

立川ヂーゼルオートサービス(高橋孝司社長、東京都八王子市)は、従来の3分の2のスタッフが出社する態勢で業務を進めている。出社人数を絞り、会社がマスクを確保して従業員に配布している。モーターハウス土屋(土屋真樹社長、静岡県湖西市)は、ロードサービスに出向く際、積載車にマスクと消毒用のジェル、ハンドルカバーを常備する。顧客が助手席に座る場合はマスクの着用と手指の消毒を要請し、車両を回収する際はハンドルカバーを装着する。

整備工場の現場作業では、リモートワークや在宅勤務は難しいのが現実。営業や事務スタッフはデスクワークができるものの、メカニックは実際にクルマの整備を手掛けることが必要だからだ。「3密(密閉、密集、密接)を避け、作業時間帯を工夫している。昼休み休憩をずらすようにしている」(千葉県松戸市のセンチュリーオート・石井英幸社長)など、細かな配慮を続ける必要性が求められている。

一般的に、ユーザーは消耗部品の交換タイミングや点検、車検の時期に整備工場へ入庫する。こうした傾向はコロナ渦が蔓延する中でも不変で、入庫台数は従来通りの水準をキープする事業者は多い。それでも、政府が不要不急の外出自粛を要請する現状では、幾分の影響も現れ始めた。カーライフハギワラ(萩原良夫社長、東京都八王子市)では、時短営業の影響で入庫台数が減少し、4月は前年実績を下回った。例年入庫が増加する大型連休明けも台数が減っているという。

国信自動車(国信保志社長、広島県東広島市)でも、緊急事態宣言の発出以降、新規ユーザーの来店が減少した。「チラシによる宣伝がないため、休業中と勘違いするお客さまが多いのではないかと思う。来店したお客さまには車内の除菌をサービスするなど、今回の逆境を前向きに捉えて顧客の固定化を図っていきたい」(国信社長)と話している。

新型コロナウイルスの猛威は続き、感染防止対策にぬかりがあってはならない。3月以降、整備業界でもマイナスの影響が現れており、今後の動向は予断を許さない。先行きが不透明な状況とはいえ、特定整備の認証制度が始まるなど新たな変革への対応も迫られている。直面する危機を次代への成長につなげるチャンスとして捉えることができるかどうか。各社の経営力や人財力が問われるところだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞5月14日掲載