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2020年5月13日

日刊自アンケート、自動車メーカーの21年新卒採用 エントリー数が減少

日刊自動車新聞社が自動車メーカーを対象に実施した採用アンケートの結果、回答企業の6割が2021年に卒業する学生のエントリー数が前年に比べて減少したと回答した。コロナ禍で説明会などの接点が減ったことがエントリー減の一因となった。不透明な状況に今季の採用計画を定められない企業も少なくない。対面機会が失われる中、ウェブを活用した採用活動で学生との接点を創出するが、ミスマッチを懸念する声は多い。

回答のあった11社のうち6社のエントリー数が減少し、うち1社は4月下旬時点のエントリーが前年同期比で2割以上減少した(1社は非公表)。そもそも、近年は学生が希望企業を絞り込んで就職活動するケースが増加しており、企業へのエントリー数は減少傾向にあったものの、コロナ禍の影響で一段と減った格好だ。

それでも入社志望度の高い学生の割合が高ければ影響は少ないが、「例年より企業・仕事理解が浅い学生が多い」(スバル)。3月以降に企業説明会や工場見学会が中止になった影響で学生も志望先の企業研究が十分に行えないためだ。ホンダは「新型コロナの影響を受ける前に接点を設けていた企業に対する志望度が相対的に高まっている」とし、3月1日を説明会の解禁日とする政府方針に則って採用活動している企業にはより強い逆風が吹いていると指摘する。

各社は直接対面する機会を失った代わりにウェブを活用した採用活動を進めている。トヨタ自動車は導入を計画していたウェブ面談ツールをコロナ禍の影響で予定より前倒しして3月中旬に採用。このほか、大半の企業が6月に解禁となる面接もオンラインで行う考えだ。

入社後のミスマッチを防ぐため、各社は「可能な限り学生の不安感を払しょくできるよう質問を多く募るようなコンテンツ設計を心がけた」(ホンダ)、「技術の説明動画を掲載した」(スバル)などと工夫を凝らす。

ウェブによるコミュニケーションのほか、「企業研究が不十分にならざるを得ない学生に配慮し、内定後の受諾にかかる猶予期間を例年よりも長めに設定する」(日野自動車)といった対応を進める企業もある。

採用活動の大幅な見直しを迫られ、担当部門は対応に追われるが、中には明るい材料もある。マツダは「遠隔地の学生の参加拡大や業務効率化の面も確認できた」とし、今回の経験を次年度以降の採用活動に生かす方針だ。

アンケートは、4月20~28日まで日本自動車工業会の会員企業の採用担当者を対象に実施。14社中11社から回答を得た。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 大学・専門学校,自動車業界

日刊自動車新聞5月8日掲載