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2020年5月12日

日刊自連載「軽自動車の使用実態調査報告書」(3)広がる環境技術への関心

2019年度の軽自動車の電動車販売台数は、前年度比18・4%増の39万1838台となり、登録車の伸びが頭打ちとなる中で軽自動車はプラスを維持した。自動車メーカーが積極的に軽ハイブリッド車(HV)を増やしたことに加え、ユーザーの環境意識も高まってきたことが背景にありそうだ。

日本自動車工業会(自工会、豊田章男会長)がまとめた19年度「軽自動車の使用実態調査報告書」によると、軽自動車の購入時に環境性能を重視する人の割合は「とても」「やや」を合わせて約4割。「燃費を重視した」という人は62%で、なかでも40~60代のユーザーの割合が高く、13年度(約3割)から着実に消費者の環境意識が高まっていることを示している。

また、軽自動車に対して「環境問題に配慮されている」というイメージを抱く人は、「そう思う」「ややそう思う」を合わせ53%で、中でも20代以下(59%)の人から高い支持を得た。「エコカーという感じがする」と答えた人は46%で、主に60~70代以上のシニア層の軽に対するクリーンなイメージが一層強い。環境に配慮している分、軽自動車にかかる税金が安いのは妥当という意見も根強く、前回調査の17年度(19%)から5㌽上昇した。

現在、軽自動車の電動車はHVでありメーカー各社が相次ぎHV設定車を増やしている。スズキが1月に発売した「ハスラー」にはマイルドハイブリッドを全車に採用し、日産自動車は3月に売り出した「ルークス」の全グレードにハイブリッドシステムを搭載するなど、消費者が電動車を選びやすい環境を整えている。

軽乗用系のユーザーに対するハイブリッド車の認知は9割以上となる一方、購入意向を示す人は4割弱と伸び悩み、認知から購入へと力強くつなげていく必要性がある。同様の傾向が他の環境対応車でも表れており、電気自動車(EV)は認知9割に対し購入意向は3割弱、プラグインハイブリッド車(PHV)は認知約6割で購入意向は2割未満だった。

軽乗用系の保有者が、普通乗用系ユーザーに比べて環境対応車に対する認知、関心、購入意向が低いことが分かった。次世代技術の採用が車両価格の上昇につながるのを不安視していることが背景にありそうだ。環境対応車への懸念点として「車両価格が高い」と答えた人が最も多かった。「バッテリーの耐用年数を考えると維持費面で不安がある」「燃料供給施設・充電施設の場所や数が心配」といった意見も集まった。

軽自動車には経済性を求める声が根強い。環境対応車への支払額は追加コストなしが約2割、10万円までが約1~2割程度だった。現状のガソリンエンジン車の燃費性能が高い中で、新技術の採用により電動車のコストが上昇すれば、ガソリン車を選択する人が増える可能性がある。一方、環境対応車の検討理由としては「燃料価格変動影響小」「維持コスト低」「排出ガス少」が共通して挙がった。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞5月1日掲載