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自動車産業インフォメーション

2020年4月28日

緊急事態宣言7都府県ディーラーアンケート 来店、新車販売が減少

日刊自動車新聞社が7都府県への「緊急事態宣言」発令後に行った対象地域の新車ディーラーへのアンケート調査で、経営を取り巻く環境の厳しさが改めて浮き彫りになった。多くのディーラーで来店客数と新車の受注台数が減少。車検や点検の入庫台数はほぼ通常通りだが、一般整備での来店・入庫が減少している。

各社とも新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、営業時間の短縮、時差出勤や在宅勤務の承認、公共交通機関からマイカー通勤への切り替え推奨などで対応。日常業務への影響は避けられないが、「大事なことは安全。感染しないための臨機応変な働き方を採用する」(首都圏のトヨタディーラー)動きが広がっている。

22日までにアンケートの回答を得た67社のうち、9割以上が本社機能および店舗の運営体制を変更した。営業時間の変更について、30分~3時間の範囲で閉店時間の前倒しなどを実施している。サービス部門も同様で「これまで柔軟に対応していた部分でも、時間を過ぎる場合は翌日に変更するよう要請する」(首都圏の大型車ディーラー)などの動きがある。

感染防止と従業員の安全確保を目的に、「拠点長、工場長を集めた会議を中止」(九州のホンダディーラー)するなど「3密」を回避する対策は、多くのディーラーで行われている。インターネットを利用したウェブ会議に切り替えた事例も少なくない。

各社ともに本社機能の分散、サテライトオフィスの設置やテレワークを通じ、職場内の人数を可能な限り減らすように努めている。感染拡大防止の観点から公共交通機関の自粛を推奨したディーラーもある。土地スペースが十分ではない首都圏では駐車場代を会社負担とする事例もある。

新車販売については、緊急事態宣言の発令以降、来店客数は宣言前と比べて約3~5割減少している模様だ。住民への外出自粛要請に加えて、ディーラーも商談会や店頭イベントなどを取り止めているため、通常であれば大勢の来店客でにぎわう週末も新規客来店はゼロに近い状況だ。「フェアを中止したため、商談が発生しない」(首都圏の輸入車ディーラー)、「受注残の中からのキャンセルが発生している」(近畿のトヨタディーラー)など悲痛な声が聞かれる。

サービス部門では、車検や点検の入庫台数が従来通りの水準を保っていると回答したディーラーが目立つ。ただ一方で、「外出自粛要請で法人客を中心にサービス入庫がキャンセルになった」(九州のトヨタディーラー)、「車検予約の先送りが増えている」(近畿のトヨタディーラー)などの影響が出ていることも事実だ。

一般整備では「点検パックと合わせてキャンセルが出ている」(九州のホンダディーラー)ケースもある。アフターサービスを起点とした顧客接点機会が減少することは、新車への代替提案や部品販売などの機会が減ることにもつながり、販社は新年度早々、コロナ禍で出鼻をくじかれた格好だ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞4月24日掲載