2020年4月27日
緊急自動ブレーキ普及着々 新車搭載率ほぼ9割
緊急自動ブレーキを搭載した車の普及が進んでいる。2020年までに新車搭載率を9割以上とする政府目標に対して、国内販売に占める同装置の装着率はトヨタ自動車やスバルは9割を超え、ホンダも9割に迫る。
マツダは国内で売る乗用車の全車種に最新技術を搭載するなど、各メーカーで車の安全装備を拡充する動きが広がる。21年11月から国産新型車に緊急自動ブレーキの搭載義務付けの適用が始まることを見据え、さらに対応車種の拡充や性能の向上に取り組む方針だ。
緊急自動ブレーキはセンサーを使い、前方車両や歩行者を検知し運転者に警報するとともに、緊急時には自動でブレーキを作動する装置で事故防止に一定の効果がある。高齢者事故対策の一環として、17年に開かれた関係省庁副大臣級会合では、緊急自動ブレーキの新車搭載率を9割とする国の目標が打ち出された。
自動車メーカーも安全装置の搭載を着実に増やしている。トヨタは18年1~12月の国内販売のうち、トヨタブランド車への緊急自動ブレーキの装着率は95%となった。先進安全技術は「86(ハチロク)」など一部車種を除くとほぼ全車種に設定され、レクサスブランドの商品には全車種標準搭載している。
ホンダは、19年1~12月の国内販売実績のうち、緊急自動ブレーキを含む「ホンダセンシング」装着率は約89%となった。国内で販売する車への安全装置の標準搭載も進め「NSX」など一部車種を除き8割以上で設定されている。
マツダは17年から安全技術の導入を加速し、現時点で「マツダ3」や「ロードスター」など国内で販売する乗用車の全モデルに、緊急自動ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置などを含む「サポカーSワイド」対応の機能を搭載している。
スバルは緊急自動ブレーキの設定車ベースでみると、「WRX」「BRZ」やOEM(相手先ブランドによる生産)車を除く車種に標準設定している。19年7~12月の国内販売台数に対する装着率は91%に達した。
ダイハツ工業は、20年3月の国内新車販売台数のうち「スマートアシスト」の装着率は9割以上となり、「ロッキー」には全グレードで標準装備するなど安全装備を拡充している。スズキは、19年1~12月の装着率は軽乗用車や登録車、軽商用車を合わせて70%以上となった。軽乗用車は85%以上、登録車は9割に達した。
国土交通省は21年11月1日以降に販売される国産の新型乗用車に対し緊急自動ブレーキの搭載を義務付ける。同ブレーキの国際基準に基づき、前方を横断する歩行者を検知してぶつからずに止まるなどの試験をクリアした車を型式指定し、販売を認める。
メーカー側は緊急自動ブレーキの義務化を受け、「安全運転支援システムの性能向上や車種拡充を図っていく」(トヨタ)、「現在の安全技術で対応可能の見通し」(ホンダ)、「規制には対応していく」(スズキ)と、それぞれ安全技術の対応措置を講じる方針だ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞4月22日掲載