会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2020年4月22日

日刊自連載「整備業界の現状と展望 19年度版整備白書を読む」⑤今後の展望

国内の自動車保有台数は上昇し続けていたが、リーマンショックの影響などで2010年度に7866万台に減少した。その後、ハイブリッド車(HV)、軽自動車、コンパクトカーなどの新車販売が好調に推移し、18年度は過去最高となる8179万台に拡大した。とはいえ日本自動車整備振興会連合会(日整連、竹林武一会長)の19年度版「自動車整備白書」は人口減少や少子高齢化など社会構造の変化を指摘する。

中でも整備業界にとってインパクトが大きいのはレンタカーやカーシェアリング普及などの「所有から使用へ」の意識変化だ。このため、今後保有台数の右肩上がりの成長路線の維持は望めない、と見ている。

保有台数の中で特筆すべきはHVの普及度合いだ。発売開始以来、毎年確実に増加し続け、近年では年間100万台ずつ増えている。18年度末のHV保有台数は前年度比12・5%増の848万5千台となった。保有台数に占めるHV割合は同1・2㌽増の10・4%となり、初めて1割を超えた。

HVのラインアップは今後も一段と充実する上、19年10月の消費税増税に伴って「環境性能割」が導入されたことなどもあり、燃費性能に優れたHVの保有比率が高まる可能性は高い。さらに電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)の普及も控えており、整備業界ではそれらへの対応を求められることになる。

一方で、新型車の潮流としてコネクテッドカーの台頭がある。リモートで車両状況を事前に把握できることで故障を未然に防ぐことが可能になる。事故整備の入庫台数が減少することと、ディーラーによる顧客の取り込みが進み、整備事業者への入庫が減る可能性がある。

整備業界にとってプラスの動きもある。自動車の平均使用年数の長期化傾向だ。登録乗用車車齢が「5年以上9年未満」が同0・7%増の96万5千台、「13年以上」が同2・6%増の87万9千台と2つのカテゴリーで増加した。また、車齢が9年以上のクルマの割合は全体の41・5%を占める。不況時に定着した節約志向を背景に、自動車を長期間使用する高齢化のトレンドは変化がない。

車の長期使用はメンテナンス回数や入庫台数の増加にも結び付く。このため、ユーザーとの関係強化が事業者に必要なスタンスといえる。日整連では「整備事業者に対する研修会などを通じ、長期使用や走行距離の多い車両の不具合の具体的な情報提供など、ユーザーのメンテナンス提案につながる啓発を行っている」としている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞4月17日掲載