2020年4月21日
コロナ禍で相次ぐ展示会の中止・延期 「オンライン」に活路
新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、様々な業種の展示会が延期や中止に追い込まれる中、自動車関連サプライヤー各社は、オンラインでの出展内容紹介に切り替えるなど、代替策を講じ始めている。
自動車技術会が主催する国内最大級の「人とくるまのテクノロジー展2020横浜」の5月開催中止のほか、自動車関連企業が多く出展していた展示会が相次いで中止・延期になった。コロナ禍に起因する展示会の中止や延期は、国内外の自動車関連企業にとってビジネス機会の損失になりかねず、各社とも工夫を凝らす。
日本展示会協会によると、新型コロナの影響で今年2月下旬以降だけで約350本の展示会が中止や延期になったという。主要展示会場の東京ビッグサイトは、延期になった2020年の東京オリンピック・パラリンピックで使用されるため、もともと利用制約があり開催規模が限られた。今後も新型コロナの終息時期が不透明な中、延期もあり、開催数や出展企業数が限られることは必至で、さらなる痛手になることは間違いない。
同協会は「特に広報やセールスの費用が潤沢ではない中小企業が打撃を受ける」と、展示会を営業活動の要にしていた小規模事業者への影響を懸念する。
自動車領域では「電気自動車(EV)や自動運転の実用化に向け、自動車と電気やIT(情報技術)業界が相互の展示会に乗り入れて製品や自動運転技術などを紹介することが増加している」(同)とし、次世代製品の開発を進めたい自動車関連企業と、自動車業界への新規参入を目指す企業にとっても、コロナ禍による展示会への出展機会の喪失はマイナスに影響すると考えられる。
新型コロナ感染拡大の初期段階で、開催を中止しなかった展示会では「目的を持った来場者が多く、商談がスムーズだった」(ある自動車部品出展メーカー)との声もあったが、先行きが不透明な中で展示会がまったく開催できない状態では危機感は強まる。
だが、そうした中で、中止になった展示会の代わりにオンラインを活用する動きもある。神戸製鋼所は、中止になった展示会(4月初旬)に出展予定だった自動車向けなどの溶接技術をウェブ動画などで公開。TDKも中止になった展示会(4月初旬)と並行して準備をしていた特設サイトで製品情報や技術のプレゼンテーション動画を公開した。
こうしたオンラインの活用で「予想以上に多くのお客様からアクセスがあり、いち早く新技術と新製品を紹介できたと確認できた」(TDK)と手応えを感じている。加えて、「専門の窓口も新たに開設した」(同)ことで、オンラインを活用したサポート体制も整えているという。新型コロナの感染拡大で移動の自粛が求められる中、展示会の代替策として、また情報収集の手段としてオンラインの活用がより一層進みそうだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞4月18日掲載