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自動車産業インフォメーション

2020年4月20日

自動車メーカー、系列ディーラー支援 マスクや消毒液供給でサービス体制確保

自動車各社が系列販売会社の支援に動き始めた。国や自治体などによる緊急事態宣言を踏まえ、営業時間や感染防止対策に関する指針を作成して通知したり、接客に不可欠なマスクや消毒薬などの調達を肩代わりしている。

販促イベントなどは自粛せざるを得ないが、販社が行う点検や修理などの車両サービス業務は地域に不可欠だ。トヨタ自動車系販社の一部では無料で車内を消毒するサービスも始めた。4月以降の受注は落ち込みが避けられない状況で、メーカーは販社の経営状況にも目配りする。

トヨタは店舗運営の指針を作成して通知したほか、マスクを有償提供したり、消毒薬などの在庫をグループで融通したりしている。同社幹部は「地方に行けば行くほど車は不可欠な移動手段だ。車がないと動けないという人がたくさんいる」と語り、点検や修理、車検などのサービス業務を従来どおり継続する方針を示した。ただ、指針はあくまで参考で「最終的には(販社)各社の個別判断になる」(幹部)という。

マツダも接客に欠かせないマスクを全国の販売会社に支給している。各販売店はマスク着用に加えて店舗や試乗車の消毒など感染予防の対応策を打ち出した上で顧客対応を行っており、こうした取り組みをメーカーが支援する。

シングルポイントディーラーなど小規模販売店が多いホンダでは、新型コロナウイルスの影響で販売低迷が避けられない中、系列販売店の事業継続対策を進める。エリアマネージャーが情報収集を強化して、資金繰りに窮する販社があれば個々に対策を検討していく方針だ。

新型コロナウイルスの蔓延を防ごうと、政府は7日に緊急事態宣言を出した。東京と神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県が対象だが、愛知や香川、石川など、独自の宣言を出す自治体も出始めた。

休業要請の対象や中身は自治体によって分かれるが、例えば東京都の場合、整備工場を有する自動車販売店は「社会生活を維持するうえで必要な施設」とされ、休業ではなく、感染防止対策の協力要請にとどまる。対象地域では、すでに営業時間を短縮したり、従業員の検温を徹底するなどの対策をとる販社が増えている。

一方で、今後の新車販売には不透明感が漂う。あるメーカー幹部は「ここ3週間ほどの受注は前年同期比で8割程度だ。7都府県の緊急事態宣言が出た先週からはもう一段下がっている」と明かす。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞4月15日掲載