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2020年4月20日

日刊自連載「整備業界の現状と展望 19年度版整備白書を読む」③事業場数の減少傾向は続く

ここ数年、事業場数は全体としては一進一退を繰り返している。日本自動車整備振興会連合会(日整連、竹林武一会長)の2019年度版「自動車整備白書」によると、事業場数は前年度比0・3%減の9万1605で4年連続で減少した。このうち、兼・専業が同0・4%減の7万1734とマイナスだったのに対し、ディーラーは同0・6%増の1万6349と増加して明暗を分けた。

ただ、少子高齢化が進展する国内市場で今後保有台数が増加する確率は低いだけに、事業場数が現在の数を維持できるかどうかは未知数だといえる。

事業場数は近年、9万2千前後で推移している。昨年の減少事業場数は278。廃業、撤退する事業者がいる一方で、新たに整備業界に参入する事業者もいるため、同水準を維持している。その中で、兼・専業は経営者の高齢化や事業継承問題、人材難など多くの課題を抱えている。廃業が増えた結果、4年連続で減少した。259件の減少は直近の7年間で最多だ。

ディーラーは2年連続で増加した。工場の統廃合による事業合理化が一段落し、人員の見直しや人材確保の強化を図っていることなどを要因として挙げる。97事業場の増加で、直近7年間でも平成28、29年度を除いて増加しており、増加基調となっている。

自家は全業態の増減数の4割に該当する116事業場減少した。ただ、企業内の整備部門に新たな収益源を求め、自家から専・兼業に業態転換する動きが増えているため、と推察している。

特定の整備を専門とする専門認証事業場は56増の同0・8%増の7263に増加した。専門認証が増加する中で、全体の工場数が減少しているため、全部認証工場の事業場数が減少している。この数年来、こうした傾向が続いている。

指定工場数は同0・04%増の3万87事業場で、12事業場増。新規認証取得工場数は1095件で、前年度から141工場減少した。ディーラーは39工場増の135だったが、専業は83工場減の722。車体整備業は28減の35、ガソリンスタンドは18減の22となっており、その他を含めておおむね減少傾向にある。

廃業工場数は1353で、前年度から119増加した。原因別に見ると「自己都合」が44件増の502件で最多、「事業合理化」が7件増の247件、「後継者難」が25件増の224件となり、これらが全体の72%を占めた。何年間も続くトレンドではあるが、人材不足と経営体力向上のための事業縮小が主要因となっていることに変化はない。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞4月15日掲載