2020年4月14日
トレーラー需要が増加 19年度の生産大幅増、物流で利用拡大
ドライバー不足解消の一手として、輸送効率が高いトレーラーの需要が増加している。日本自動車車体工業会(木村昌平会長)のトレーラ部会がまとめた「2020年度トレーラー国内需要見通し」によると、2019年度は台風被害や消費税増税の影響で一時的な景気の減速が見られたが、トレーラー生産台数は昨年度比で大幅な増加となった。
19年度のトレーラー生産台数の形状別内訳は、バンが前年度比20%増、コンテナ用は同10%増、平床(あおり付き含む)・低床は同4%減という結果になった。その他のトレーラーは前年度並みだった。
また、20年度のトレーラー需要見通しは、総需要で9400台と前年度並みを見込む。新型コロナウイルスのマイナス影響が予測困難な状況である一方で、米中貿易摩擦に歯止めがかかることによる輸出入の持ち直しや、原油価格の安定などがプラス要因となって前年水準を守れると見込む。
トレーラー需要が高まる中、車体メーカー各社では受注残を抱えて生産が追い付かないのが現状だ。このため各社は、生産体制の強化など受注残の解消に向けた取り組みを加速させている。
東邦車輛(辻和弘社長、横浜市鶴見区)では、19年度のトレーラーの生産台数が前年度比8%増と拡大傾向にある。これを受け同社は、生産体制を少しずつ強化することで対応している。同じく19年度の生産台数が同13%増の日本フルハーフ(昼間弘康社長、神奈川県厚木市)や、日本トレクス(中島光彦社長、愛知県豊川市)でも、これまでトレーラーの生産能力を高めてきた。
近年物流業界では、トラックドライバーの長い拘束時間を改善するため、トレーラーを活用した中継輸送(リレー輸送)が注目されている。中継輸送は、中継地点でトレーラーとトラクターを交換することで、ドライバーは荷物を引き継いで日帰りで帰ることができるため、ドライバーの負担軽減につながるという仕組みだ。
全日本トラック協会(坂本克己会長)は「トレーラの大型化による輸送効率化ハンドブック」を作成し、車両のトレーラー化を目指すトラック運送事業者向けに、導入のメリットや事例を紹介している。物流業界での利用拡大が予測されていることから、トレーラーは今後も高い需要が見込まれている。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞4月10日掲載