2020年4月13日
「緊急事態宣言」発令 対応に追われる自動車流通各社
政府の緊急事態宣言を受けて自動車流通業界においても、多くの企業で会議をウェブに変更したり、従業員にテレワークを推奨するなどで新型コロナウイルスの感染拡大防止対策を加速している。業界団体では各委員会の会議を中止。今春の通常総会でも書面での開催を検討する動きも出始めた。ただ、外出自粛やテレワークに限界があることも確か。感染症拡大の予防対策を徹底しながら、いかにして売り上げ確保や収益向上を図っていくか各社は苦悩を深めている。
新車販売各社は、サービス網の維持を前提に緊急事態宣言に対応した営業体制に移行する。おおむね営業時間の短縮で対応する方向で各社とも調整しており、状況に応じた複数のプランを用意する販社もあるなど、準備に追われた。
日本自動車販売協会東京都支部(自販連東京、酒井信也支部長)では、緊急事態宣言にいち早く対応するためのガイドラインを先週までに作成し、会員販売店に通達した。トヨタ自動車販売店協会(ト販協、横田衛理事長)も、6日から対象都府県の販社向けに対応マニュアルの準備に着手。先行して準備を進めていたトヨタモビリティ東京や大阪トヨタの対応策を参考事例とし、他販社にも展開する。
日産東京販売ホールディングス(NTH)は、傘下の東京日産、日産プリンス東京、日産プリンス西東京で、全店舗の営業時間を短縮する。通常は午前10時から午後6時半だが、閉店時間を午後5時に繰り上げる。NTHの本社部門では、従業員が時差出勤や時短勤務のほか、少人数に分かれてグループ会社の事務所や大規模店舗の一室などを活用して業務を行うなどの対応も検討している。
ヤナセは、8日から5月6日をめどに対象都府県にある店舗の営業時間を午前10時から午後4時までの6時間営業に短縮する。各店舗の販売部門は当番制を敷き、必要最小限の人員に減らす。サービス部門は、すでに入庫された車両の作業を11日までに終わらせ、その後は事前予約のある車検、点検と故障など緊急性のある入庫に対応する。対象エリア外の店舗は通常通り営業する。
中古車販売大手のケーユーは、平日の営業時間を2時間短縮した。電車通勤の従業員に対して車通勤を推奨する。来店者へのサービスも衛生面に配慮してこれまでの紙コップからペットボトルでの提供に切り替える。中古車買い取りのカーチスは、営業時間を1時間短縮する方針。本社勤務の従業員についても在宅勤務人数を増やすなど検討中。
カー用品店のオートバックスセブンは、今後の店舗の営業体制について「(7日昼時点では)協議中」。広報担当者は「緊急事態宣言を受けての対応案の中に、ディーラーやカー用品店は含まれておらず、簡単には決められない」と話す。イエローハットも同じく「対応を検討中」とした。
整備業界では、各社とも通常通りの事業活動を続けている。車検、点検などの入庫台数は従来までと大差なく、今後も顧客の来店に応じて整備作業をする必要があるためだ。密閉空間を避けたり、スタッフにこまめな消毒を指導するなど地道な取り組みを実施する整備工場が多い。
とはいえ、コロナウイルスの終息時期は不透明で、「数カ月先にまで影響が及ぶと、経営体力のない整備事業者が相次いで倒産する可能性があるのでは」(千葉県の整備事業者)と指摘する声も挙がっている。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞4月8日掲載