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自動車産業インフォメーション

2020年4月9日

自動車業界 感染拡大に備え、人工呼吸器など生産協力

新型コロナウイルスの感染拡大に備え、自動車業界が医薬品や人工呼吸器などの生産協力に乗り出す。政府の求めに応じ、自動車各社が検討に入った。原材料や部品の供給、組み立て、人員の派遣などを通じて対策品の増産に協力する意向だ。各社は海外で政府の要請に応じて人工呼吸器やマスクの生産協力をすでに始めている。国内でも事態の長期化に備え、ものづくりの設備やノウハウを提供して政府に協力する。

経済産業省が日本自動車工業会(自工会)などの関係団体を通じ、マスクや消毒液、防護服、ゴーグルや人工呼吸器といったコロナ対策品の増産協力を4日までに要請した。自動車各社も「当社にできることを検討していく」(日産自動車)と前向きに応じる意向だ。

原材料や部品の供給、3Dプリンターを含む組み立て設備の提供、医療機器メーカーへの製造支援など、各社ごとに協力可能な内容を関係団体がとりまとめ、経産省が要請品目ごとにサプライチェーン(供給網)を構築する考え。自動車各社や部品メーカーは新車需要の急減を踏まえて国内でも生産調整を始めており、遊休設備や浮いた人員を振り向けることも検討するとみられる。

米大学などによると、世界全体の新型コロナウイルス感染者数は日本時間4日未明に104万人を超え、死者も5万5千人に達した。各国政府は渡航や外出制限といった感染防止策を取る一方、物資調達を含む医療体制の拡充も急いでいる。

主要国の基幹産業で、幅広い材料や部品を扱う自動車産業も現地政府の求めに応じ協力に乗り出しており、米国ではゼネラル・モーターズやフォード、トヨタ自動車などが医療機器メーカーと協力して人工呼吸器やフェイスシールドの増産に取り組む。日産やホンダ、スズキなども進出先の要請に応じる形で協力体制を整えつつある。日本でも先月下旬から一部で感染者数が急増しつつあり、事態の長期化に備えて同様の取り組みが本格化する。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞4月6日掲載