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自動車産業インフォメーション

2020年4月8日

政府、マスク対策を加速 国交省はバス・タクシー事業者に配布

新型コロナウイルスの感染抑止に向け、国が深刻な供給不足に陥っているマスク対策を加速させている。国土交通省では3月末までに、バスとタクシーの事業者を対象に70万枚のマスクを配布することを決定。経済産業省も「マスク生産設備導入補助事業」を推進し、生産能力の増強や新たにマスク生産に乗り出す企業をバックアップする。

政府も全世帯を対象にマスクを配布する方針を固めた。自動車メーカーが完成車工場の一時休止を相次いで打ち出すなど、新型コロナ問題は自動車産業にも影を落としている。国はマスクの配布や供給の拡大で、悪影響を抑え込む狙いだ。

国交省は厚生労働省などと協力し、ガーゼ型のマスク70万枚を確保。業界団体などを通じて、バスやタクシーの事業者に配っていく。この内訳は、バス向けに32万枚、タクシーで38万枚となっている。国交省では2月に1万2千枚のマスクをタクシー事業者に配布しており、追加措置となる今回はボリュームや対象を拡大した。

この背景には、新型コロナ禍でも国民の生活基盤を保つためには、「公共交通機関を支えていくことが重要」(一見勝之自動車局長)との思いがある。マスクの追加配布で「運転手の方々を感染させない」(同)環境づくりに取り組むことで、安定した移動手段の確保につなげる。

国内でのマスクの供給量は3月、政府が目指していた月6億枚の水準に到達していたとみられる。マスク生産の多くを中国に委ねていた状況も改善しつつある。梶山弘志経済産業相は「当初7対3で輸入が多かったが、今は6対4で国産が上回っている」と明かす。

しかし、医療機関に優先して供給していることなどから、店頭での品薄状態に変わりはない。経産省では今後も、生産や供給の拡大の支援に取り組み、マスクを手に入れやすい体制整備に力を注いでいく方針だ。

安倍晋三首相は新型コロナウイルス感染症対策本部で、4月には「月7億枚を超える供給を確保する見込み」とさらなる増産にめどが立ったことも明かしている。こうした伸長分を活用して、全世帯へのマスク配布を行っていく方針。感染拡大の防止だけでなく、終息までの間、安全な交通社会を維持していくためには流通や整備を支える人材を守っていくことも重要になる。政府には引き続き、実効性のある対策が求められそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞4月4日掲載