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自動車産業インフォメーション

2020年4月1日

北部九州自動車産業アジア先進拠点推進会議 地元企業の事業拡大サポート

九州北部地区に集積する自動車産業の振興を産学官が一体となってめざす「北部九州自動車産業アジア先進拠点推進会議」の取り組みが堅調に進んでいる。自動車生産を支える関連企業は年々増加。2019年度における福岡県での企業数は576社となり、5年前と比べると100社近い増加を果たしている。自動車メーカーが地元企業から部品を調達する比率も伸長しており、「車種によっては7割を超えている」(福岡県商工部自動車産業振興室)状況だ。

自動車産業が100年に一度の大変革期を迎え、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)、MaaS(サービスとしてのモビリティ)といった新たな潮流への対応が求められる中、同会議はカーエレクトロニクス分野への支援策を一段と強化するなど、今後も地元関連企業の事業拡大をサポートしていく。

北部九州は日産自動車九州、トヨタ自動車九州、ダイハツ九州、日産車体九州の4つの自動車生産工場が立地するなど、国内有数の自動車産業集積地域となっている。年間約160万台の生産能力をもち、国内総生産台数に占めるシェアは17%前後で推移している状況だ。

このため北部九州の中心地となる福岡県では製造業全体における輸送用機械器具製造業の占める割合が全国平均より高い。18年の工業統計調査によると、全国平均が21・4%に対し、福岡県は34・7%となっている。北部九州の自動車産業が将来にわたって発展を続けるには、高度な生産技術力や研究開発力をもった企業の集積、開発から生産まで幅広い人材の集積、交流を進めることが重要であり、その推進役を担っているのが北部九州自動車産業アジア先進拠点推進会議となる。

同会議は03年2月に設立された産学官が集う組織体。小川洋福岡県知事が会長となり、副会長には大手サプライヤーのデンソー九州やユニプレス九州、部品製造、プレス板金などを手掛ける現地企業のナミユニットが就いている。また、顧問として日産自動車九州、トヨタ自動車九州、ダイハツ九州、日産車体九州が参画。会員数は20年3月現在、839会員(企業/745、団体/39、大学・高専等/16、市町村/39)となっている。

13年には「北部九州自動車産業アジア先進拠点推進構想」を策定。①国際競争力の高い企業の集積②アジアをリードする自動車の開発・生産拠点の構築③新たな自動車社会を提案し、アジアに発信する拠点の形成④自動車先端人材集積・交流拠点の形成の4つの目標を掲げ、地域の産学官を結集し自動車産業振興を推進している状況だ。19年度は地元企業の取引拡大や開発力強化、電子・電装系企業の集積促進、人材育成と交流、企業立地支援などに取り組んできた。

取引拡大支援では、自動車メーカーのOBや現役社員に「自動車産業アドバイザー」として企業間のマッチングを依頼。自動車メーカーやサプライヤーと地元企業とをつなぐ支援策を展開してきた。また、九州7県が一体となり、現地調達率の向上や新技術、新工法を展示する商談会も開催した。

開発力強化では、地元企業が電動化部品分野への参入を支援する研究会を行ったほか、産学連携による部品開発、新製品の開発をサポートする補助金などを展開した。この他、高校生のインターンシップや理工系大学生を対象にした交流会、アジア企業との人材交流、燃料電池車(FCV)の普及促進、特区制度の活用や国、県による税制優遇措置による企業立地支援なども実施している。

20年度以降、従来にも増して力を入れるのが電子・電装分野だ。「来年度はティア1サプライヤーと連携しながら、電動化や自動運転などCASE対応を視野に入れた技術講習会、研究会を実施する」(同)予定となっている。同会議が掲げた4つの目標は22年度を区切りとしており、地元調達率を70%に引き上げ、国内シェア20%、180万台の生産の達成をめざしている。

自動車産業が直面する100年に一度の大変革期に地元企業が対応し、来年度以降も地元企業の取引拡大につながる各種施策を展開することで、継続的な地域経済の発展と雇用創出にも結び付けていく。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞3月28日掲載