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2020年4月1日

車検証のICカード化まで3年弱 OSS利用率、着実に上昇

自動車検査証(車検証)のICカード化まで3年を切った。国は新車新規で46・9%、継続検査で32・6%(ともに登録車、昨年12月実績)にとどまるOSS(自動車保有関係手続きのワンストップサービス化)比率を2021年度までにそれぞれ80%、70%へ高める目標を持つ。今後も運輸支局などを通じ、OSSの普及に力を入れる考えだ。

OSSは05年12月に東京、神奈川、愛知、大阪の4都府県の新車新規手続きからスタートした。当初は本人確認に住民基本台帳カードが必要だったり、地域内の足並みがそろわなかったりして苦戦したが、国土交通省は17年4月から対象地域や手続きを一気に拡大する「抜本拡大」に踏み切る。現在、継続検査は全都道府県で可能。新車新規ができないのは京都府、高知県、徳島県を残すのみとなった。登録車とはデータ管理が異なる軽自動車もまず、継続検査のOSS化を昨年5月からスタートさせている。利用率は24・5%(今年1月実績)。静岡県、埼玉県、群馬県など4割前後に達した地域も出てきた。

ただ、2年後までに新車新規80%、継続検査70%の目標達成までは気が抜けない。特に継続検査は独立系指定整備工場の参画が達成のカギを握る。ディーラー系の大手資本と異なり、中小・零細が多いためだ。国交省自動車情報課の担当者は「当初は紙と電子の仕事を並行して進める必要があり、苦しいところはあると思う」と話す。

関連団体も支援に動く。自動車検査登録情報協会(自検協、後藤悦治郎理事長)は、車検証のQRコードを読み込ませることで入力の手間を省く「スマート継続OSSシステム」を提供する。

国はOSSと非OSSで検査登録手数料に差をつけたり、自動車重量税の照会機能を加えたりと普及に知恵を絞る。OSS申請が増えれば支局窓口業務の効率化にもつながるからだ。支局によっては、地域の代行センターや行政書士らと、業務が円滑に進むよう申請実務のルールをまとめている。こうした業務は地域事情もあり「なかなか統一的なルールはつくれない」(同)という。静岡県(新車70%、継続47%)や埼玉県(新車69%、継続49%)、兵庫県(新車60%、継続40%)など利用率の高い地域では、支局や団体、事業者らの連携が奏功しているようだ。

車検証がICカード化されると、運輸支局から車検更新情報を受け取った整備工場はICカードをその場で上書きし、検査標章を印刷できる。新規や抹消など運輸支局へ出向く手続きは残るが、OSS対象手続き約3400万件の47%を占める継続検査は、指定整備工場なら「ゼロストップ」で済むようになる。国はICチップの空き容量をポイントサービスやメンテナンスパックの履歴などにも活用してもらう考え。

人材難対応や働き方改革を迫られる自動車業界にとって、OSSは生産性を高めるきっかけになる。国交省は「OSSをうまく活用し、車のことに(経営資源を)集中する機会になれば」(同)とし、今後もシステムの改良や普及活動に力を入れていく考えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞3月28日掲載