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2020年3月31日

日系商用車メーカー各社 本格化する燃料電池トラック開発

日系商用車メーカーが燃料電池(FC)トラックの開発に一斉に乗り出した。日野自動車、いすゞ自動車がそれぞれ乗用車メーカーとの共同研究開発に着手したほか、三菱ふそうトラック・バスは、2020年代後半までにFCトラックを量産する方針を表明した。日野といすゞが大型トラックへの実装を想定する一方、三菱ふそうは小型トラックへの適用も視野に入れる。電気自動車(EV)と比べて短時間で水素を充てんできるFCトラックを次世代パワートレインの選択肢に加え、環境規制の強化に備える。

乗用車と比べて商用車は、稼働時間が長く、積載量も確保する必要があるため、充電時間が長く、バッテリーにスペースを取られるEVとの相性が良くない。特に都市間などの長距離輸送で使用される大型トラックは、大容量のバッテリーを積む必要があるため、「FCV(燃料電池車)が適している」(いすゞの片山正則社長)。

さらに三菱ふそうは「小型トラックでも航続距離200㌔㍍以上は燃料電池が有利」(アイドガン・チャクマズ副社長)と、小型への適用も想定してFCトラックを開発する。26日に発表したコンセプトモデル「eキャンターF―セル」は、小型EVトラックの「eキャンター」をベースに開発。EVに積んでいるバッテリーの一部をFCスタックや高圧水素タンクに置換し、約300㌔㍍の航続距離を確保する。航続距離100㌔㍍のeキャンターが急速充電で約1・5時間の充電時間を必要とするのに対し、FCトラックは約10分で充電できる。

23日にトヨタ自動車との共同開発を発表した日野の下義生社長は「EVにもブレークスルーがあるかもしれないので決め打ちはできない」という。EVにはバッテリーのコストや充電時間といった課題があるものの、FCトラックもシステムのコストや充電ステーションの整備といった普及への障壁が残る。各社は、厳格化される環境規制を見据え、ディーゼルエンジンの改良に加え、EVやFCトラック、天然ガスと多様なパワートレインの開発を同時進行で進める。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞3月27日掲載