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2020年3月30日

トヨタ、NTTと資本・業務提携 ウーブンシティで実装

トヨタ自動車とNTTは24日、資本・業務提携すると発表した。互いに2千億円規模を出資し、エネルギーや移動などを効率化した「スマートシティ」に必要なデジタル基盤を共同開発する。まずはトヨタが開発を進める静岡県裾野市の「ウーブンシティ」などで実装していく。

両社が目指す「スマートシティプラットフォーム」は、住宅や車両などから得られるデータや、エネルギーや自治体、医療などの公的データなどを融合させ、エネルギー受給や移動の効率を高めたり、官民のさまざまなサービスを高度化したりする情報基盤を指す。

NTTグループはすでに国内外でこうした取り組みを進めており、トヨタの車両技術やウーブンシティ構想と組み合わせることで、実用化に弾みがつくと判断した。開発した情報基盤はまず、ウーブンシティや東京都品川駅前のNTT街区で実装し、完成度を高めた上で他都市へも広げていく。

豊田章男社長はCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)革命に触れ、「クルマを含めた街全体、社会全体という大きな視野で考えること。コネクテッドシティという発想が必要だ」と提携の理由を説明した。資本提携にまで踏み込んだ理由について、NTTの澤田純社長は「長期的な営みになるし、双方の企業価値を上げることにもなる」と語った。

トヨタは、電気通信分野の自由化が始まった1980年代から自動車事業との相乗効果が見込めるとして、国際通信や国内長距離、移動体通信の各分野で新会社に出資してきた。現在、京セラに次ぐ筆頭株主(出資比率12・67%)であるKDDIとの関係も、トヨタが出資した日本高速通信(TWJ)、日本移動通信(IDO)の事業再編に伴うもの。KDDIとは、コネクテッドカー用のグローバル通信プラットフォームを共同開発したり、トヨタ系販売店がauブランドのスマートフォンを扱う関係にある。

一方、ソフトバンクとは18年10月に新たなモビリティサービスで提携し、MaaS(サービスとしてのモビリティ)基盤を手がける新会社をつくった。NTTグループとも17年3月に次世代のコネクテッドカー向けプラットフォームの研究開発で合意。20年代半ばを想定したプラットフォームの開発状況を昨年暮れに公開した。NTTとの提携より、コネクテッドカー、MaaS、スマートシティの領域で通信大手3社と関係を築いたことになる。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞3月25日掲載