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自動車産業インフォメーション

2020年3月27日

自動車各社、広がるサブスクサービス 来店不要ネットで申し込み

自動車メーカー各社が新車や中古車の定額利用サービスに相次ぎ参入している。トヨタ自動車のサブスクリプション(定額利用)サービス「KINTO(キント)」に続き、日産自動車も個人向けリースの新サービスを本格展開する。ホンダは中古車で1年未満の短期利用客をターゲットに中古車の定額利用サービスをスタートさせた。

車両価格にメンテナンス費用や自動車税などを含んだ定額料金で利用できる点に加え、インターネットを介して申し込みができる手軽さも同サービスの利点となる。新型コロナウイルスの感染拡大で外出を控える動きが広まる中、店頭での接触を避けたい消費者を取り込む契機となる可能性も出てきた。

トヨタは対象のレクサス車を定期的に乗り替えられる「キントセレクト」を2019年2月、トヨタ車で車種固定型の「キントワン」を同年3月から東京で先行開始した。同年7月に全国で本格的にサービスを展開し、キントワンの取り扱い車種はスタート時の6車種から現在はレクサス車を含め28車種まで拡大している。

同年11月からは中古車版の「ユーカーキントワン」を群馬で、今年1月からは通常3年契約のところを1年間に限定した「キントワンFT」を福岡でそれぞれトライアルを開始。新サービスの需要を探っている。

日産は、愛知などで試験展開していた個人向けリース「ニッサンクリックモビ」を13日から本格稼働した。契約期間は3、5、7年、頭金やボーナス設定などが選択でき、利用料金に幅を持たせた。申し込みはインターネットを介して行い、専任オペレーターへのチャットや電話での問い合わせやカーシェアリングサービスと連携したセルフ試乗、自宅まで車両を届ける納車サービスも盛り込み、新車の新たな買い方として提案する。

ホンダは中古車で定額利用サービスを展開する。「ホンダマンスリーオーナー」は、利用期間が最短1カ月から最長11カ月と他社より短いことが特徴で、従来の販売による「所有」とカーシェアやレンタカーなどの「利用」との中間ニーズを狙った新サービスとなる。1月下旬からまずは埼玉県内の1拠点で13台からサービスを開始。ユーザーからの反響も大きく、3月19日時点で34台まで増車している。埼玉をはじめ関東エリア以外の住民の利用もあるという。

いずれのサービスも駐車場代や燃料費を除いた「コミコミ料金」を打ち出し、若年層が馴染みある「サブスク」サービスとして提案する。敷居が高いとされるディーラー店舗に訪れなくても申し込みができる気軽さも利用者の支持を得ているようだ。ディーラー店舗とネットの両方で申し込みを受け付けるトヨタのキントでは、特に20~30代がネット申し込み比率が高いという。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で「巣ごもり消費」が拡大する中、新車や中古車もネット注文が浸透する可能性も出てきそうだ。日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は、19日の定例会見で「(新型コロナウイルスの影響で)ネットを活用した消費行動に世の中がもっとシフトしていくかもしれない」と述べ、長らく定着しなかったクルマのネット販売の可能性を示唆した。

日産のクリックモビは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、先行実施していた東海地区に加え、外出自粛要請が続く北海道札幌地区で展開する。新車が欲しくても店頭に出向くことができない消費者のニーズに対応する狙いだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞3月23日掲載