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2020年3月27日

大型燃料電池トラック共同開発 トヨタと日野

大型トラックの次世代パワートレイン候補に燃料電池(FC)が浮上してきた。トヨタ自動車と日野自動車は23日、大型FCトラックを共同開発すると発表した。主に都市間輸送を受け持つ大型トラックは積載性と航続距離が重視され、電気自動車(EV)化が難しいとの見方が多い。国もトラックのFC化を後押ししており、今後の開発動向が注目される。

「日野プロフィア」(車両総重量25㌧)をベースに開発する。シャシーを専用設計とした上で次期「ミライ」のFCスタック2基やリチウムイオン電池、駆動用モーターなどを搭載する。大容量の水素タンクを新開発するなどして約600㌔㍍の航続距離を目指す。

乗用車に比べ商用車は積載性やコスト、航続距離、耐久性などが重視される。都市内配送を受け持つ中・小型トラックでは電動化が進み始めたが、走行距離の長い大型トラックでは既存ディーゼルエンジンの熱効率を大幅に高めたり、天然ガスを使う車両が有力視されていた。

ただ、水素はエネルギー密度が高く、航続距離を稼ぎやすい上に充填時間も短い。経済産業省も「水素・燃料電池戦略ロードマップ」の中で、320万台の保有台数を持つ商用トラックのFC化を有望視し、関連する技術開発を後押しする方針を示している。稼働時間が長い商用車がFC化されれば、水素需要が増える好循環も期待できる。

トヨタと日野はFC路線バスでも協業し、2018年には型式認証を取得した量販型のFCバス「SORA」を発売した。

また、トヨタは米国でも現地メーカーと組んでFCトラックを走らせているほか、昨年には関連特許を無償提供する方針も公表し、海外の商用車メーカーも関心を示している。車体コストの削減やインフラ整備など課題も残るが、乗用車に比べFC化の利点が明確なだけに、今後の動向が注目される。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞3月24日掲載