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自動車産業インフォメーション

2020年3月25日

部品メーカー入社式、開催地分散や動画 研修でも感染リスク対策

自動車部品サプライヤーは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で入社式の見直しを迫られている。式典を開催する場合でも、時間の短縮や小規模開催を検討する企業が多く、例年通りの手法からの変更を余儀なくされている。入社後の研修に関しても、オンライン受講方式への変更準備を進めるなど、〝通常運行〟とはいかないようだ。配属時期さえ決め難い現状は、新入社員のモチベーションに影響を与える可能性がある。

入社式典を中止するのは、日立製作所、小糸製作所、デンソー、アイシン精機、旭化成など、大手サプライヤーが目立つ。中止に踏み切った企業の多くから「仕方がないが非常に残念」との声が聞かれた。式典の代替策としては、経営トップの動画メッセージの配信が大半のようだ。ジヤトコは式典開催の可否を検討中だが「新入社員にとっては人生に一度だけのことなので、ぎりぎりまで検討したい」と悩む。

予定通り式典を開催するのが、原田工業、ユニプレス、ヨロズ、ニッパツなど。トーヨータイヤは人事部長からの辞令交付のみで済まし、数十分で終了する予定だ。ミネベアミツミは例年、東京本部で開催していた入社式を各事業所も含めた分散開催とし、テレビ会議システムを活用する。JVCケンウッドやアルプスアルパインも同様で、従来はグループ全体で開催していた入社式を小グループに分割化する。各社とも、マスク着用や式典参加者数の絞り込み、開催地分散化のほか、体育館など広い代替会場の検討、座席の間隔を広げるなど、感染リスク対策に余念がない。

入社後の新入社員研修も慎重な対応が求められる。基本的には研修を実施するが、実施形態の変更や研修期間の短縮でウイルス感染のリスクヘッジを講じるケースが目立つ。日立製作所やトーヨータイヤなどは、集合形式の研修を中止する。代替策として、自宅や宿泊先でインターネットを活用して、自前の研修プログラムを視聴、受講可能なeラーニング形式への切り替えを進めるケースが目立つ。

このほか、原田工業は例年実施する外部研修を取りやめ、社内研修のみ実施する。アイシン精機は予定していた工場視察を実施するか検討中だ。旭化成は、研修を全国5カ所に分散化し、期間を1週間程度に短縮する。集合研修は2日間に限定し、パソコンによる自宅研修に重点を置く予定だ。

新型コロナウイルスの影響は、新入社員の配属時期をも決め難くしている。デンソーでは例年、新入社員は数カ月の研修を経て各部署に配属されるが、今年は感染リスクの影響で配属時期を未定とする。同様に原田工業は、例年5月の第3週としてきた配属時期を今年は決めかねている。

入社式の中止に加え、対面もしくは集合方式での研修機会の削減は、感染リスクの低減に有効とされる一方で、新入社員のモチベーションの低下といったリスクも想定される。各社とも、工夫を凝らす必要がありそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 大学・専門学校,自動車業界