2020年3月19日
物流各社が貨客混載輸送を拡大 ヤマト、埼玉で国際興業バスと連携
物流業界で輸配送の省人化に向けた取り組みの一環として、バスや鉄道を活用して旅客と貨物を一緒に運ぶ「貨客混載輸送」が拡大している。地域の移動手段を確保しつつ、トラックドライバー不足を解決できる手段として物流企業各社と鉄道、バス会社の連携が徐々に進んでいる。
ヤマト運輸は国際興業と連携し、2月25日から埼玉県飯能市の名栗地区、中藤・原市場地区に配達する宅急便を国際興業の飯能営業所に持ち込み、路線バスに積み込んで運ぶ取り組みを開始した。路線バスは乗客と荷物を乗せて飯能駅から運行を開始し、「尾長入口」と「上赤沢」のバス停で、ヤマト運輸の地区担当セールスドライバー(SD)に宅急便を引き渡す。SDは引き渡された宅急便を顧客に届けるという仕組みだ。
飯能市内を運行する国際興業の路線バスは地域住民の生活の足となっている。しかし、人口減少などにより乗車人数が減り、将来の路線維持が難しくなるという課題があった。一方、ヤマト運輸では埼玉県飯能市の飯能支店から名栗地区と中藤・原市場地区への午後到着分の宅急便を配達する際、名栗地区では1台、中藤・原市場地区では2台のトラックが支店へ宅急便を取りに戻らなければならなかった。
そこで、路線バスの車内スペースを活用して宅急便を輸送することにより国際興業にとっては宅急便の輸送による新たな収入源が生まれる。また、ヤマト運輸にとってはSDの運転時間を削減することで、その時間を顧客とのコミュニケーションに充てることができるため、サービス品質の向上につながるとみている。ヤマト運輸の貨客混載は全国16都道府県で運用中であり、埼玉県内では初の取り組みとなる。
佐川急便では、JR北海道と共同で、宅配便荷物を在来線の旅客列車で運ぶ貨客混載輸送に取り組んできた。現在は次のステップとして、北海道新幹線を使った輸送の検討を行っている。両社は2019年4月に、JR北海道の宗谷線稚内駅と幌延駅間において、幌延町向けの宅配便荷物を旅客列車で運ぶ貨客混載輸送事業を開始した。現在は、1日当たり約50~60個の宅配便を輸送している。
これに加えて、現在は北海道新幹線の新函館北斗駅―新青森駅間で、客室内へ宅配便荷物を収納した専用ボックスを積載して輸送することを検討している。新型コロナウイルスによる影響が収まり次第、実証実験を開始する。事業化については検証の結果を踏まえて関係機関などと調整する。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞3月9日掲載