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2020年3月18日

FCV普及へ道筋は着々と整う 都内で水素・燃料電池展

トヨタ自動車が新型「ミライ」の投入を控えるなど、水素システムや燃料電池車(FCV)を取り巻く状況は今年以降、活況を呈しそうだ。3~5日に都内で開催された「水素・燃料電池展2020」(主催=リードエグジビションジャパン)では、韓国・現代自動車が市販しているFCV「NEXO(ネッソ)」や移動式燃料電池発電機などを公開。現在は韓国中心の販売方針だが「日本への投入も視野に入れる」(現代自動車の担当者)など、日本の水素市場にも商機を見出す。サプライヤー各社は量産を想定した設備投資や製品開発を進め、需要の拡大に備える。インフラや車両価格などが普及の課題になっているFCVだが、道筋は着々と整いつつある。

現代自動車が日本で初公開したネッソは、モーターの最高出力が113㌔㍗、航続距離は約600㌔㍍の中型SUV。韓国では2011年に投入し、昨年までで5千台を販売した。日本市場への投入も検討しており、当日はナンバーを取得したネッソも公開した。あわせてネッソのスタックを組み合わせた移動式の燃料電池発電機も公開。通常の発電機では時間がかかる電源のオン/オフの切り替え作業を短縮したのが特徴。船舶やフォークリフトなどの充電を想定しているほか、1度に2台の電気自動車(EV)を5~10分程度で充電できる。日本投入を来年以降に見据える。「将来、日本での水素システムの需要は韓国を上回るペースで推移するのでは」(担当者)と可能性を示す。

仏フォルシアは水素事業を成長路線に乗せる考え。仏ミシュランとの合弁会社シンビオにFCV向けスタック事業を移管し、フォルシアは貯蔵システムの開発に専念する。すでに水素タンクの製造ラインを新設したほか、認証工場を自前で用意し、開発生産から認証試験までを一貫してカバーする。

堀場製作所はパワートレインなどの評価試験設備センター「E―LAB」に、新たに燃料電池試験設備を19年末に設置した。実使用環境を再現した状態でコンポーネントの評価ができる。実際に試験も行えるが「まずは(同社が)どんなことができるのかを見てもらうのが狙い」(担当者)。自動車メーカーやティア1からの引き合いも徐々に出てきているという。

JFEスチールとJFEコンテイナ―は、水素ステーション用高圧型水素ガス用蓄圧機の新タイプを展示した。水素は鉄をもろくする特性があるため、新タイプでは鉄の材質を変えて厚みを増しつつも、加工時は深部まで熱が伝達できる構造とした。現行タイプより使用回数は2倍近く増えたものの、圧力数の幅は狭めている。「実際に使用される機会が増えるうちに、対応する圧力数よりも、使用回数を増やしてほしいというニーズが高かったため」(JFEコンテイナーの担当者)という。

普及が進むにつれてニーズが細分化してきており、各社ともより多くの要望に応えられる技術開発を急いでいる。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞3月13日掲載