2020年3月9日
日刊自連載「サポカー補助金始動」 (上)申請殺到の可能性
65歳以上の高齢運転者を対象としたサポカー補助金の申請受付が来週始まる。補正予算に同補助金が盛り込まれて以降、経済産業省自動車課には一般ユーザーや自動車業界関係者から問い合わせが殺到。「申請開始を待ち構えていて一気にどさっと申請が来るかもしれない」(自動車課)と世間の関心の高さに、政府も受付体制に万全を期す。サポカー補助金をめぐる政府の対応や狙いを取材した。
高齢ドライバーによる相次ぐ悲惨な事故を受け、2019年12月に閣議決定された19年度補正予算では、65歳以上のシニア層による安全機能を備えた車の購入を支援する補助金の創設を決定。「緊急性が高いため結構な額を積んだ」(同)というサポカー補助金の総額は1127億円にのぼり、100万台超の新車・中古車、後付け装置の購入支援枠を確保した。
3月中の執行に向け、政府は昨年末から補助金の執行体制づくりを急ピッチで進めた。昨年12月に有識者らによる委員会を開催し、補助金の対象となる車種やグレードを審査して公表。今年2月上旬には補助事業の執行団体を次世代自動車振興センターに決定し、対応窓口の設置や必要な人員の確保に着手した。現在、同センターでは3月9日の申請受付開始に向け、交付申請書の様式など詰めの作業に入っている。
サポカー補助金のうち、新車については昨年12月23日から新規登録・検査届け出をした登録車と軽自動車が対象となる。「12月23日までさかのぼるので、申請したくてうずうずしている分がどさっと来る可能性がある」(同)。ユーザーの関心は申請がいつ始まるかに集まっていた。9日の受付開始直後が申請・審査のヤマ場とみて、申請が来た順に迅速に審査、支給を進める体制を整える。
65歳以上のシニア層に絞った同補助金は「時限的措置」(同)と位置付ける。現在、展開している電動車の購入を支援する「クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」(CEV補助金)のような長期間にわたる補助制度とは創設趣旨が異なり「CEVのように未来永劫続けることは現在想定していない」(同)という。
頻発する高齢ドライバーによる悲惨な事故を防ぐことを目的とした緊急対策として、1千億円以上の規模の補助金支給に踏み切り、新車への買い替えを促進する。サポカー補助金の大半は車両購入補助が占める見通しで、安全な車がより多くのユーザーの手にわたるよう周知活動を続ける方針だ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
---|---|
対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞3月4日掲載