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自動車産業インフォメーション

2020年3月3日

新型コロナウイルス対策合同会議 自動車業界が幅広い支援を要望

自民党の経済成長戦略本部(本部長・岸田文雄政調会長)は27日、日本自動車工業会(豊田章男会長)や日本自動車部品工業会(岡野教忠会長)などと新型コロナウイルスの対策本部合同会議を党本部で開いた。業界団体が中国国内の物流停止により部品納入に影響が出ている状況や、人の移動の制約で生産活動に支障が出ている現状を説明。中国での稼働再開手続きの円滑化や、国内生産が減少した場合の雇用調整助成金の柔軟な運用などを要望した。部品供給網を多角化して中国への依存度を下げる必要性を指摘する声も挙がった。

自工会によると、中国に進出する日本の四輪・二輪車メーカーの事業拠点数は、製造工場など計87拠点で、雇用者数は18万人以上にのぼる。26日時点の工場稼働状況は、トヨタ自動車が天津市や成都市など現地の4工場を1直で稼働再開。ホンダは湖北省武漢市の工場について、3月11日以降で生産を再開できるよう準備を進めている。

自工会は事業活動への影響について、省ごとの規制がその都度変わり復旧・対策の計画が立てにくいことや、中国内のサプライヤーの稼働再開時期が見通せないこと、完成部品や金型の移動に必要な物流と通関が停止していることなどを挙げた。通常稼働に必要なマスクをはじめとする物資の確保や工場操業の早期再開に向けた支援、輸出入通関業務の停滞回避策などを要望した。

部工会会員企業は全部で19の省・市に進出し、中でも湖北省は4番目に生産法人数が多い。2019年の日本と中国間の自動車部品輸出入を金額ベースでみると、日本から中国への輸出は9292億円、中国から日本への輸入は6781億円。現状「サプライチェーンが途切れないことが一番の課題」としているが「ティア3、4がどうなっているか見えきれていないことが心配」(部工会)だという。

中長期的には、BCP(事業継続計画)の観点から地震だけでなく感染症を想定した対策を検討する方針を示した。要望として、国内生産が減少した場合の雇用調整助成金について現在特例対象となっている観光業に加え、製造業も加えるよう柔軟な運用を求めた。

合同会議に参加した議員は日本の中国へのサプライチェーン依存度の高さによる「チャイナリスク」を指摘。中長期的には部品供給網を多様化するよう再構築する必要性を挙げた。政府関係者も「日本の立地拠点としての魅力をいかに高めていくことができるかに知恵を絞りたい」と話した。

27日の会議で岸田本部長は「先行きが不透明で不安も大きい。引き続き第2、3弾の緊急対策を経済でもしっかりと打ち出していかなくてはいけない。雇用調整助成金の要件緩和など具体的な提言を党としても行う」と語った。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞2月28日掲載