会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2020年2月21日

自動運転車の型式認証手法開発 安全性と効率性を両立

政府は、無人自動運転車の型式指定制度の創設に向け、安全性と効率性を両立する認証審査手法の開発に着手した。人に代わって認知、判断、操作するシステムの安全性を担保する評価方法を確立する。あらゆる走行環境で安全性を検証しようとすると莫大な時間がかかるため、シミュレーション試験を取り入れて簡素化することも狙う。2019年度からの実証事業を通じて人と同等以上の安全性を確認する仕組みをつくる。

政府は14日、未来投資会議(議長=安倍晋三首相)の関連会議「構造改革徹底推進会合」の初会合を開いた。モビリティ分野では無人自動運転車の型式認証審査の合理化と人工知能(AI)を活用した完成検査に関する規制の見直しがテーマに挙がった。

将来、自動運転レベル4(特定条件下での完全自動運転)以上の車の市販化が予想されるが、現行制度では無人自動運転車の大量生産を前提としたルールが定まっていない。現在は運転免許制度により、人が正しく認知、判断、操作できることを担保しているが、操作主体がシステムに置き換わった場合、人と同等以上の安全性を担保する評価方法の確立が課題となる。

政府は、19年度補正予算のなかで「規制の精緻化に向けたデジタル技術の開発事業費」として28億円を確保。このなかで、無人自動運転車の安全性評価の確立に向けた事業を展開する。

実証事業では、安全性評価システムの開発を目指す。人の運転特性に関するデータを収集・分析して無人運転車が満たすべき安全性の水準についてスタンダードを作成する。人間の目に相当するセンサーの性能をさまざまな条件で評価する装置も構築し、それらを組み合わせて、認知から操作まで安全性評価試験を一貫して行えるシミュレーション手法を確立する。

無人自動運転車に関する型式認証審査の合理化にも取り組む。安全性担保のために、公道やテストコースなど、想定されるあらゆる走行条件で実車走行しようとすると走行シナリオが膨大な数にのぼる。現実では起こる可能性が低い場面を削るなどシナリオを絞り込んだり、シミュレーション試験を活用して型式指定制度の簡素化を図る。

実証は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業として実施し、企業や大学などから参加を募り、早期実験に移る。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞2月18日掲載