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自動車産業インフォメーション

2020年2月21日

自動車各社 本格化する国内販社再編

国内販売会社の再編が本格化している。トヨタ自動車陣営が各地で全車併売を見据えた販社統合を進めるほか、日産自動車も地域密着のために直営販社の地場化を加速する。ホンダや三菱自動車は直営販社を統合し、スケールメリットの最大化を図る。人口の減少による市場の縮小やシェアリングサービスの普及が進行すれば、従来型のビジネスモデルが崩壊する可能性は高い。強靭な経営基盤の構築に向けた再編は待ったなしの状況だ。

トヨタ陣営では2019年4月に東京都の直営4社を統合したのを皮切りに全国の販売会社再編が一気に動き始めた。同年5月にネッツトヨタ栃木とネッツトヨタ宇都宮が合併したほか、KTグループは今年5月、遠州鉄道グループは7月に統合を控える。ウエインズグループやATグループ、品川グループ、大阪トヨペットグループも統合を表明済みだ。

有力販社が相次いで統合を決める中、様子見を続けていた企業も腰を上げる。1月22日に開いた販売店表彰に登壇した豊田章男社長は壇上で静岡県裾野市に建設する「ウーブンシティ」の話題に大半の時間を割いた。出席した販社首脳の1人は「全車併売が迫る中でその話にあえて触れなかったことで『皆さんもう分かっていますよね』というメーカーの本気と怖さを感じた」と受け止め、生き残りに向けた体制の見直しを急ぐ。

「体力のあるうちに最適な体制へ」という考え方は、トヨタに限らず各系列共通の認識だ。ただ現時点では体力があるだけに、地場販社の資本を跨いだ統合は簡単には進まない。

メーカー各社が国内市場の先行きに対する危機感の強さを示すかのように進めるのが直営販社の再編だ。トヨタの場合、19年3月末に13社あった直営販社は愛知県2社、福岡県1社を譲渡したことにより、7社に減少した。ホンダも昨年3月末に31社だった直営販社数が今年4月に23社となる。1商圏1社を目安に国内販売網の再構築を図る日産は昨年、宮崎県、富山県、北海道帯広市の直営販社を地場に譲渡し、09年に45社あった直営販社を31社に減らした。

20年代には400万台規模にまで縮小する可能性をはらむ国内市場。一方、次世代の技術やサービスに対応するための負担は大きくなる。販売会社は持続的経営の実現に向けた正念場を迎えている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞2月18日掲載