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自動車産業インフォメーション

2020年2月14日

福島の震災復興へ 日産、地域活性化に協力

日産自動車は、福島県浜通り地区で震災復興の動きを加速させる地域活性化に協力している。東日本大震災や福島第一原子力発電所の事故から復興に向けて前進している中で、地元自治体と協力関係を築きながら電気自動車(EV)や再生可能エネルギーを活用した実証実験に取り組んでいる。将来的には、自動運転やMaaS(サービスとしてのモビリティ)などの技術も利用しながら、地域住民に向けた移動サービスの構築に結び付けていく。

福島県が立ち上げた福島イノベーション・コースト構想推進機構(斎藤保理事長)は、日産に委託する形でカーシェアリングサービス実証事業「はまモビ」を2018年12月から始めた。貸し出し車両は、EV「リーフ」を活用し、自然環境に配慮した。現在稼働中のカーシェアステーション(ST)は、浪江町STと大熊町STの2カ所。実証実験の終了は20年3月中旬を予定しており、効果や採算性を検証し、課題の整理を行う。

浪江町は、EVを活用した街づくり「スマートコミュニティ・マスタープラン」を策定した。このプランの一環としてリーフを日産と地元販売会社を代表し福島日産(金子與志人社長、福島市)が同町に納車した。20年末までに、EVを合計13台配備予定としている。この他、町内の公共施設8カ所に充電設備や給電設備を設ける計画で、インフラとともに整備していく。この他の取り組みでは、町内にリーフの使用済み電池を再利用してつくった街路灯「リボーンライト」が国道114号線沿いに設置された。使用済み電池の再利用の方法の一つとして注目を集めている。

また、日産では「日本電動化アクション『ブルースイッチ』」を推進している。地域課題解決のため、EVの利点を活用した提案活動を行ってきた。各地域でリーフを活用した防災協定を締結するなど、地域との連携強化を進めている。

今年3月で東日本大震災から9年目を迎える。復興に向かう動きがある一方で、人口減や少子高齢化など、地域ごとに課題が山積する。メーカーや販売会社が解決に向けて、地域に寄り添い取り組む活動に今後も注目が集まりそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞2月6日掲載