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2020年2月7日

車工会 技術発表会を開催

日本自動車車体工業会(車工会、木村昌平会長)が、都内で技術発表会を開催した=写真。会員企業が開発のポイントや安全性を高める生産設備などについて、6つのテーマで発表を行った。技術発表会は、車工会の中央技術委員会(加藤幹章委員長・新明和工業顧問)が中心となって開催している。車工会会員企業の技術レベル向上への支援活動の一環として行っている。

今回の発表は自動車精工、中京車体工業、ジェイ・バス、トヨタ車体、日本カーバイト工業の5社が行った。加えて、車工会のトレーラ部会技術委員会が突入防止(UN―R58―03改訂版)に関する合同試験の結果について報告した。

ジェイ・バスの生産技術部副部長の松川英雄氏は「連節バス製造のための生産設備」について発表した。同社は連節バスを生産する上で①安全第一②現行車同等の品質確保③量産車への影響を与えない―の3点をコンセプトに生産工法と設備を整えた。

また、安全性の面で前車室と後車室連結後の狭いエリアでの後退は事故リスクが高いことから、交差、後退しない車両動線を確保するために新検査棟を建設したことを紹介。全長18㍍にもなる連節バスは現行ラインに流せないことから、前車室と後車室を分割することで、現行ラインと混流化に成功した。しかし、分割した場合、後車室が1軸になるため、自立ができなくなるという問題が発生した。そこで、後車室に前方仮台車を接続することで自立を可能にした。これらの対策を行ったことで、安全性を担保しながらも現行ラインとの混流で効率的な生産体制を実現したという。

トヨタ車体のボデー設計部第2ボデー設計室の長谷川稔氏は「外板結合構造の開発~おがみ合わせ結合への挑戦~」について発表した。長谷川氏はこの取り組みについて「海外向けハイエースを開発した中で取り組んだ」と話した。通常、大型車両の外板はプレスのコイル幅に制限があるため、立体成型ができない。このため、必ず外板の分割が発生する。一方で、近年では競合車の外板の面品質が乗用車並みに向上してきているという。

同社では塗装割れが起きないようにする対策を従来構造で検討したが、設備投資や複雑な構造でコストがかかることがわかった。そこで、見栄えとコストの両立を目指した新型車の開発に挑戦した。塗装割れの原因となるのは、主に悪路走行時のパネルの引っ張りや塗装過程の温度変化だ。同社はこのメカニズムに着目し、部材同士を頂部で合わせる「おがみ合わせ結合」の変位を抑える構造を開発した。おがみのパネルを既存の骨格部材と補強材で結合することで塗装割れが発生しないことを確認した。これにより、同社はスポット結合という汎用設備を活用しながらも、見栄えとコストを両立させ塗装割れしない外板結合構造を開発した。

各発表が終わると会員企業各社から質問が飛び、活発な意見交換が行われていた。車工会では今後も同様の取り組みを通して会員企業同士の交流を深めていくという。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞2月4日掲載