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2020年2月4日

国交省 完成検査の合理化へ自動化設備の管理者求める

国土交通省は、自動車完成検査の合理化に向け具体的な施策を実行する。自動車メーカーが完成検査の方法を変更するたびに国へ届出を求めていたのを一部緩和し、書類上の変更など車の品質担保への影響が軽微なものは届出を不要にして監査で確認する形式に変える。また、完成検査員が行う作業を機械に置き換える場合には、自動化設備が正常に作動しているかをチェックする設備全体の管理責任者を選任することを自動車メーカーに求める方針だ。

自動車メーカーが完成検査の手順などを変更する際には逐一、遅滞なく国に届け出る必要がある。自動車メーカー側が完成検査に使用するチェックシートの記載項目を書き換える場合にも、書類を提出しており、自動車業界からは緩和を求める声が出ていた。

完成検査の合理化に向け、国交省は2020年度にも関係省令を改正する。チェックシートの項目や検査コースの工程図の名称変更などに関しては、国への届け出を不要にし、変更点を社内で周知することを求める。メーカー側への立ち入り監査の時に変更による問題が発生していないかも見る。

完成検査工程も効率化する。同工程のうち、目視による検査が全体の約6割を占めるという。車体番号の確認など人のチェックを画像診断で代用できれば、自動車メーカー側の作業負担を減らすことができ、検査の効率化につながる。政府は検査員に代わって人工知能(AI)が車の性能を検査することを認める方針だ。

国交省の検討会では、検査手法にセンサー機器を取り入れるといった時代の変化に合わせた完成検査のあり方について見直しを進めており、20年度には検査工程を自動化した場合の保安基準適合性を担保する指針を策定する。

ガイドラインには、人と同等以上の画像判定精度の確保や、設備に異常が起きた時の自動停止機能、検査結果の記録・分析、自動化設備の管理責任者の選任を盛り込む考え。基準値の設定や点検・整備など設備全体を管理する責任者を置くことを求める方向で検討する。

政府は19年度の補正予算案で、モビリティなどの分野でデジタル技術を導入するための研究開発や規制のあり方の検討に28億円を計上した。自動車関連ではAIを使った完成検査の技術開発が含まれており、19年度に実証を行う計画。国交省としては、この実証の成果なども踏まえてガイドラインを策定する方針だ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞1月31日掲載