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2020年1月27日

IC車検証の空き容量有効活用 自動車業界のニーズ深掘り

国土交通省は、ICカード化する自動車検査証(車検証)の空き容量を使ったサービスの運用について、自動車業界のニーズをさらに深堀りするため、2020年度に新たな検討会を設置する方針だ。IC車検証の利活用方法について具体的な制度設計を進めているが、現時点で空き容量を使った独自のアプリケーション(アプリ)を提供する意向を示す主体が出ていない。情報管理リスクなど事業者にとって参入ハードルを下げるための方策を検討する。

23年1月から車検証を電子化する制度がスタートすることに伴い、カード型の車検証に搭載するICチップの空き容量を有効活用するための検討が進んでいる。

国交省は18年9月に「自動車検査証の電子化に関する検討会」の初会合を開き、有識者や自動車関係団体などと20年1月まで10回にわたって議論してきた。今年の3月に最終とりまとめを行う。

これまでにサービス提供者の条件やアプリに搭載できる内容の範囲など具体的な制度設計に関する議論を重ねた。また、昨年にはIC車検証の空き容量の利活用に関するアイデアを幅広く募集。個人や自動車販売、車検・整備、運送事業者など自動車関係事業者、団体から計374件の意見が寄せられた。

集まったアイデアの中には、購入情報や車体色、本体価格などの車両情報が最も多く、点検整備情報や保険情報なども含まれていた。

ただ、国交省によると、ユニークな意見が集まったものの、現時点でICカードにアプリを搭載して独自サービスを提供したいという具体的な声が上がっていないという。

アプリ提供者の情報管理リスクが高いということが理由の1つにある。また、点検整備情報を使ったサービスを提供する場合、過去の整備履歴など、さまざまなユーザー情報を収集して管理するプラットフォーマーのような存在が必要となる。国が管理する税や自賠責保険などの情報を民間企業が利用できないといったことも企業の参入ハードルを上げている。

国交省は、現在の検討会について3月で最終とりまとめをしたのち、20年度にIC車検証の運用に関する新たな検討体制を立ち上げ、抽出した課題の検討を行う方針だ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞1月22日掲載