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2020年1月22日

トヨタ 新型車に順次回転シート設定

トヨタ自動車は、高齢ドライバーに配慮した装備や設計を今後発売する新型車に広げる。新型「ヤリス」では、運転席と助手席シートが回転し、乗降性を改善する「ターンチルトシート」=写真=を初めてオプション設定した。福祉車両では取り込みにくいニーズを量販車の装備に反映させ、自家用車に頼る地方のモビリティ(移動性)維持につなげるのが狙いだ。

ターンチルトシートは独自のリンク機構により、座面を外側に回転させると同時に前方へ傾ける構造とした。通常は片足で体重を支え、腰を深く曲げて乗り降りする。加齢に伴いこうした動作が難しくなるといい、腰をさほど曲げず、両足で乗り降りできるようにした。オプション価格は片側約9万円。

同社の福祉車両「ウェルキャブシリーズ」にも同様の機構がある。ただ、CVカンパニーでウェルキャブを担当する中川茂主査は「障がい者を持つご家庭への普及率はそれなりに進んだが、高齢者の方には普及していない。価格など理由は幾つか考えられるが、今まで健常者として生活してきた人にとって、福祉車両に心理的な抵抗を感じている人も多いのではないか」と話す。このため発想を変え、量販車にこうした装備を設定することで、高齢の顧客が選びやすいようにした。ターンチルトシートの場合、量産する型式指定車への採用で、価格もウェルキャブへの装着品と比べ半値にできたという。

ヤリスではまた、前後ドア内側の前方下側を凹ませ、乗降時に足先を出し入れしやすいようにした。この設計もウェルキャブで蓄積したノウハウのひとつ。今後も乗降性の改善や運転補助など、ウェルキャブのノウハウを量産車に広げ、高齢ドライバーの自立的な移動を後押していく考えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞1月17日掲載