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2020年1月15日

東京オートサロン、CASE、MaaS時代にカスタマイズの楽しさを

世界最大規模のカスタマイズカーの祭典「東京オートサロン2020」が10日、千葉市美浜区の幕張メッセで開幕した。今年もチューニングカーやドレスアップカーなど800台のカスタマイズカーが展示され、初日から多くの来場者で賑わった。近年、オートサロンは自動車メーカーやインポーターがこぞって出展。そこには、かつて違法改造が問題視されていたカスタマイズが合法化以降、各社の新たなビジネスチャンスになった様子が示される。100年に1度の大変革期に直面する自動車業界。クルマを所有する喜び、カスタマイズの楽しさを訴求するオートサロンの果たす役割は、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)、MaaS(サービスとしてのモビリティ)時代にこそ際立つ。

国産メーカーは乗用8社が揃って出展。インポーターはゼネラルモーターズ・ジャパン(GMジャパン)、マクラーレン・オートモーティブ・アジアが初参加となった。GMジャパンは8世代目「コルベット」をアジア初公開。若松格社長は「日本では来年春のデリバリーを開始する」ことを明らかにした。10日に予約受付を開始。現時点での予定価格も1180万円からとしている。

マクラーレンは昨年5月発売の「マクラーレンGT」など2台を展示。日本市場を統括する正本嘉宏氏は「国内の保有台数は1千台を超えた。代替も発生しておりアフターサービス、中古車販売も充実させる」と述べた。

アストンマーティンジャパンは昨冬発表したブランド初のSUV「DBX」を出展。アジア・パシフィックのリージョンプレジデントを務めるパトリック・ニルソン氏は「創業当時と変わらない美を追求したモデルに仕上がった」と自信をみせた。

ルノー・ジャポン(大極司社長、横浜市西区)は、新型「メガーヌルノー・スポールトロフィーR」を披露。世界限定500台のうち51台を日本で販売する。ロータス車の輸入代理店エルシーアイ(高橋一穂社長、東京都大田区)は、日本限定の特別仕様車「エキシージ スポーツ350GPエディション」を発売し、同日から受注すると発表した。20台限定で価格は1133万円(消費税込)。

カスタマイズのベース車として期待される新型「GRスープラ」も目立った。トムスはハイパフォーマンスカー「TOM’S SUPRA」を初公開。レース活動で鍛え上げた技術、人、ノウハウを注ぎ込んだ。トヨタカスタマイジング&ディベロップメント(TCD)では、「GRガレージ」を展開するトヨタディーラー有志が企画・開発した「ハイラックスGRGコンセプト」を出展。複数のディーラーがかかわる特別仕様車の開発は初になるとみられる。仕掛け人の一人である群馬トヨタの横田衛社長は、「かっこよいクルマを走らせることで、新車市場の刺激になれば」と力を込める。新モデルは完成車もしくはパーツ販売の形で、まず全国12社で発売する。

こうしたカスタマイズカーやスーパーカーに共通するのは「走る楽しさ」「運転する歓び」を強調するモデルだということ。CASE、MaaS時代のクルマとは対極をなすものであり、クルマを利用する潮流が進む中で所有する価値を改めてユーザーに示してくれる存在でもある。見た目も性能も尖ったクルマを展示するオートサロン。100年に1度の大変革期に直面する自動車業界にあって、クルマが持つ本質的な魅力を訴求し続けることの重要性を再認識させてくれる。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞1月11日掲載