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2020年1月14日

日刊自連載「部品・素材 展望2020」(上)自動車の電動化

2020年は電動車の存在感がさらに増しそうだ。トヨタ自動車やホンダ、日産自動車が量産の電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の投入を予定しており、電動化が加速する見通し。サプライヤー各社も電動化シフトを鮮明にしており、開発においては引き続き軽量化や一体化がキーワードになりそうだ。インフラや価格面が普及のネックになっているEVや燃料電池車(FCV)においては、まずは商用市場向けの技術開発が活発になると見られる。

トヨタが「RAV4」のPHVモデルやFCV「ミライ」の新型車投入を予定するほか、ホンダが初の量産EV「ホンダe」を、日産が新型クロスオーバーEV「アリア」の投入を計画するなど、電動車を取り巻く市場は活発化しそうだ。

20年代は中国や欧州を筆頭に、グローバル規模での環境規制が本格化する。既存の内燃機関からの脱却は待ったなしの状況で、サプライヤー各社も開発を急ぐ。

モーターやインバーター、減速機などを組み合わせ、一体型の電動パワートレーンとして提案するサプライヤーが増えており、今年もこの流れは続きそうだ。すでに独ボッシュや独コンチネンタルなどのメガサプライヤーは量産化のめどをつけており、日本電産などの日本勢も後を追う。コスト低減や小型化、軽量化などEVのメリットになる点も多く、今年も注目を集めそうだ。

ただ、電動化シフトは一朝一夕に進むわけではない。「30年には既存の内燃機関、高電圧のEV、48㌾システムが3分の1ずつを占めると見ている」(ヴァレオジャパンのアリ・オードバディ社長)など、普及は長期化するとの見方が大半だ。そのため、サプライヤー各社はまずは商用目的での開発に力を入れている。

仏ヴァレオは群馬大学と共同で48㌾EV軽トラックを製作した。「軽トラ利用者の動向を踏まえ、日本のチームが日本市場向けに開発した」(同)もので、日系メーカーへの提案も視野に入れる。独ボッシュも日本のハイブリッド車(HV)タクシー向けにバッテリーを発売するほか、独ZFも電動トラックの開発を進めており、乗用車市場に先行して商用車市場で存在感を示していく。

FCV向けの提案も本格化しそうだ。独ボッシュは昨春に燃料電池スタックの生産を手がけるスウェーデンのパワーセル社と提携し、スタックやタンク、水素漏れセンサーなど燃料電池システムをパッケージ化して提供できる体制を整えた。独シェフラーもスタックに使用する積層型のバイポーラプレートを新たに開発したほか、仏フォルシアはフランスの工場にFCV向け製品専用のラインを新設し、今年以降に水素の貯蔵システムなどの量産化を見込む。国内では商用車向けの電動部品を手がける澤藤電機もアンモニアから水素を製造する装置を開発し、今年から製品化を目指す。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日刊自動車新聞まとめ

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞1月8日掲載