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2020年1月9日

東京五輪開幕まで200日、世界に示そう 自動運転技術

東京2020オリンピックの開幕まであすで200日となった。パラリンピックを合わせた来場者数は1千万人を超えるとみられ、自動車業界にとっては自動運転の技術力を世界に発信し、社会での受容性を高める絶好の機会だ。

日本自動車工業会が開幕直前に会場周辺で自動運転の大規模実証実験を実施するほか、トヨタ自動車は選手村の移動用に自動運転車を提供する。自動運転の〝うれしさ〟が広く理解されれば実用化の追い風になる。夢物語だった自動運転が本当に現実のものになるか、半年後には見えてきそうだ。 電気自動車を中心に約3700台の車両を東京オリ・パラに提供するトヨタの中でも最も注目されるのが「eパレット」だ。トヨタが2018年の「CES」で初公開したモデルをベースにオリ・パラ用にカスタマイズした仕様を選手村で走らせる。

車両の前後左右と天井の5カ所に設置したLiDARで周辺の状況を検知するとともに、高精度3D地図と準天頂衛星みちびきを利用した位置情報を照合し、周囲の状況に適した速度でレベル4相当の自動運転を実現する。パラリンピックに出場する車いすユーザーの乗降性を考慮し、停留所にセンチメートル単位で正着制御できる精度も確保した。開発を担当した牟田隆宏主査は「新しいモビリティの形を広く知ってもらいたい」と話す。

大会の開催に合わせ、一般ユーザーが自動運転を体感できる機会も提供する。自工会の会員10社は、昨年秋に自動運転の実証実験を開始した戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)と連携し、7月6~12日に羽田空港と臨海地区でレベル2~4の実証実験を実施。トヨタ単体でもAIエージェント「YUI」を搭載した自動運転車「LQ」を使用し、レベル4相当の自動運転や無人自動バレーパーキングの試乗会を6~9月にお台場・豊洲周辺で開催する予定だ。

オリ・パラに合わせた自動運転の実証実験が無事に成功すれば、普及に向けた機運が一気に高まる。ただし、「自動運転があれば『すべて解決する』と言うのはまずい」(豊田章男自工会会長)。一般ユーザーには、自動運転のメリットを訴求するだけではなく、機能の限界や車そのもの危険性も同時に伝えていく必要がある。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日刊自動車新聞社まとめ

対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞1月6日掲載