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2019年12月30日

サポカー補助金対象車種など公表でユーザー問い合わせ急増、各社、関心の高さ実感 販売後押しの好機

政府が導入を検討する高齢運転者を対象とした「サポカー補助金」への関心が関西でも高まっている。23日に対象車種・グレードの詳細が公表されたことを受け、新車ディーラーにはユーザーからの問い合わせが急増した。ディーラー各社も制度開始を見据えて動き始めている。

13日に閣議決定された補正予算案で、65歳以上の高齢運転者を対象とした安全機能付き自動車(中古車を含む)の購入を支援する制度が盛り込まれた。23日には国内・輸入車メーカー18社の約400車種が、登録車・軽自動車ともに同日の新規登録・検査届出分から対象となることが公表された。

高齢者による交通事故が社会問題化する中、先進安全装備への関心は一層高まっている。日刊自動車新聞社関西支社がディーラー各社に確認したところ、24日には複数の会社で問い合わせが増えたことが明らかになった。奈良県のトヨタディーラーのある営業スタッフは「(サポカー補助金が)ニュースでも取り上げられ、すでに顧客から数件問い合わせがあった」と関心の高さを実感する。

今回の施策はディーラーにとって追い風になる。ユーザーの安心・安全の確保に加えて、拡販の新たなフックにもなるからだ。

和歌山県の軽自動車ディーラーのトップは「(補助金が)販売の後押しにはなるだろう。より安全な車が普及することはわれわれも嬉しい」と期待を込める。大阪府のホンダディーラーのトップは「お客さまへの提案材料の1つになる。現時点で分かっている情報は社内で周知している」と制度開始に向けて万全の態勢を整える。

一方、慎重な見方も少なくない。前出の軽ディーラートップは「65歳以上で車を買う人がどれだけいるのか正直分からない。どこまで市場が盛り上がるのか見えてこない」と不透明さも指摘する。詳細公表後のユーザーの反応が予想よりも小さかったという声もある。

京都・滋賀地区のディーラー各社も、おおむね「需要喚起につながる」と期待感を示す。ただ、「すでに多くの新車がサポカーで、積極的なPRもまだできない。どこまで新規需要につながるかは分からない」と顧客の反応を注視している。

あるディーラーは今回の助成制度の内容を営業現場に徹底し、「お客さまに誤解を与えないよう注意して取り組みを始めた」という。中には、助成対象となる23日以前の登録を早々と控えたディーラーもある。

自動ブレーキの後付け装置の設定がないメーカーの、ある系列ディーラーでは「既納客に代替を提案したいが…」と今回の助成制度の効果を限定的にみる。一方、ある整備専業者は「情報が新聞報道だけ。事務手続きなど詳細が分からない中で、お客さまへの説明もできない」と不安顔だ。

現段階ではあくまで補助金案で、制度の実施は補正予算案の可決・成立を前提とする。実際、申請受付窓口など決定していない部分も多い。
2019年度内には補助金の申請受付が始まる見通し。年明け以降、段階的に詳細が決まることが予測される。ディーラー各社には今後の動向を注視しながら、ユーザーに正確な情報・状況を伝えることが求められる。

日刊自動車新聞12月27日掲載

開催日 2019年12月23日
カテゴリー 白書・意見書・刊行物
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対象者 一般,自動車業界